満足度★★★★
モラトリアムから現実社会へ
大学時代の楽しい生活から、卒業して直面した厳しい現実。その後、学生時代の友人との有り触れた付き合いを坦々と描いた話。大学時代は自由気ままな生活を送っていても、社会人になると思い描いていた理想とは程遠い思いをする。まさしく「理想」は「現実」に取って代わられる。そのギャップが大きいほど、社会で生きるには厳しい思いをするだろう。
何の変哲もない日常生活、いつの間にか沈殿してくる澱のようなものが精神を蝕んでいく。そのじわりじわりと追い込まれていく狂気が上手く表現されていた。
その病んだ心を、歪になった舞台セットで表現したのだろうか。客席前列からだと意味なく上方へせり上がったように見えるだろう。客席後方からは、屋上から街を眺める、または飛び降りるというイメージを持たせる。意識しないうちに迫り来る不安・恐怖が不思議と伝わる公演であった。
そう、フライヤーにある乾いた風景に生身の人間が写り込む…そこが現実なのだと主張しているかのようだ。
次回公演は、モラトリアム人間から力強く踏み出し、人間ドラマを期待しております。
満足度★★★
Libidoとは、本能に基ずく欲望と精神的エネルギー?
大学居時代、仲良くなった7人組を中心に、楽しかったモラトリアム期である学生時代と社会へ出てからの脱落者人生を中心に描いた作品
満足度★★★
ハート・ヘビーな・・・
エンディングを迎えるまで終始“ハート・ヘビー”な作品で、“ド根暗ポップ×人間の本質”としてはある意味、そこそこ成功しているとは感じた。ただ、表現の方向・方法が単一的でストーリーの広がり感に欠けてるように感じた。気になったところをあげると、照明が全体的に暗く、演者の表情が伝わりにくい。BGMのバランスが悪く、台詞が聴き取れないことがあった。これは、役者の声量が足りないということもあるとは思うが・・・。クリスマスを表現する場面での歌は、音程はともかくメロディが正しくないし、楽曲の作者に対して失礼な表現は改めたほうが良いでしょう。そして、エンディングの場面では“安堵感”が出たのか?集中力がなくなったのか?芝居が雑になり、台詞が聴き取りにくかったりして、とても勿体無い。
しかし、この劇団の違う作品を観てみたい気もしました。
※これは、ほとんどの劇団に言えることですが、“R指定”を表記して欲しいということです。というのは、小学生・中学生を連れて観劇することもありますので、劇の内容を劇団側で判断していただけると良いかと。
満足度★★★
現代人はホラーだ
成績最下位だという営業職の男性会社員にフォーカス。
『サラリーマン新党』の旗がなびいた時代なら ともかく、若年層のフリーター化が進んだ今、その肩に「哀愁」はない。
だから「ブラック企業」というスパイスが必要である。この調味料を観客が自主的に注ぎ、はじめて「ホラー」は成立する。
満足度★★
過程が雑
人間の本質を描くという事だが・・・過程が雑。人の思いが追い詰められたり、何かに囚われたりした際の心の変化の表現が、シーンとして飛び飛びで、何故そうなっていったかの過程が荒過ぎる。そこを丁寧に突き詰めていく事に意味がある舞台ではないかと思うのだが・・・。また心が壊れていく表現として、演者の感情が同化していない。若い・経験不足としか言いようがないが、それを音響・照明でカバーしてもただ煩いだけに感じる。全体的に舞台が暗い。わざとなのか、登場人物の顔、斜めからの照明の為、はっきり見えない場が多い。それが狙いだとしても、やはり戻りたいあの頃くらい、明るい照明でもいいのではないかと思う。思い出すら暗くては、戻る場所も見つからないのではないかと思う。