夏の砂の上 公演情報 夏の砂の上」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★★

    見応えのある芝居
    (観劇日当日のtwitterより)

    作戦会議第4回公演「夏の砂の上」拝見@Ito.M.Studio 代々木上原。代々木上原東口を出て、まっすぐ、しばらく坂を登りきったところ、右折、住宅街のまん真ん中に、小さなスタディオ!50人程で一杯、補助席も出る盛況。2時間20分、休憩なし。こういう劇場があるのか…。

    ネタバレBOX

    ある一家族の一部屋を、覗き見ているような錯覚に陥るリアリズム。人生あまりうまくいっていない人々の姿を淡々と描き、長崎弁の独特の柔らかさが、それらを包み込む。6畳一間が良く作られていて、そこに出入りする人たちの人生が垣間見えてくる。「夏の砂の上」にいるような日照り感も、雨が降れば。

    大したことをしゃべっているわけではないし、台詞のいい返しも多いのだけれど、あのながーい「間」の取り方はどう。あの「ながーい間」の間に、いろいろなことを考えてしまうわけ。たっぷりとした「間」の芝居を久しぶりに観た思いがする。役者の間合いが上手い、作戦会議【夏の砂の上】。
  • 満足度★★★★★

    素晴らしい
    「演劇」本来の姿という印象を受ける作品。
    <喪失感>
    我々は日々何を失いながら生きていくのだろうか。
    頭の中で理屈を捏ねながら観る作品ではなく、
    舞台との時間を共有することで感じる作品といえる。

    春田純一はじめ、役者たちの演技は素晴らしいに尽きる。

  • 満足度★★★★★

    無題1225(14-273)
    19:00の回(曇)。18:23会場着、18:30受付開場と思っていましたがすでに開場していました。

    桟敷席+パイプ椅子席(4列、クッション)。6畳の古びた和室、籐椅子、座布団。タンス、Wラジカセ、小さな扇風機、ちゃぶ台の上にはタバコ(のシーン多い)、灰皿、新聞。奥の障子の向こうは庭(ほとんど開けられない)、下手は玄関、台所、手前はトイレ、上手は寝室など。

    「観たい!」にも書きましたように、此処は「劇団ピアチェーレ」を(計4回)観にきた会場…10月に公演があるそうなので楽しみ…ですが、端から端まで満席、上演時間は140分。客入BGMにジングルベル?

    19:03前説、19:04…ギターが長めにかかり…蝉の声、白いシャツ、夏、汗〜21:20終演。中川(安)さん、松永さん以外は初めて。

    やや窮屈な客席で2時間強持つかと思いましたが大丈夫でした。6畳に役者が(同時ではありませんが)8人、妻、妹、姪、同僚、その割りにはお互いの間に距離を感じます。その空気感が面白いのでした。

    閃光、耳をつんざく音、渇き、遠いところへ、長崎の夏…

    暗転時に流れるギターはS.Howeですね、聴いたことがあるのが1曲目とラストだけ、個性的なフィンガリングです。

    余談:演出の伊藤さん、桐朋短期大演劇専攻卒ということは(世代は違いますが)「キトキト企画」のメンバーと同じですね。

  • 満足度★★★★★

    ボディブロー
     見終わった瞬間、この作品は、ボディブローのように後になって効いてくるだろうな、と感じた。ただ、これでもかというほど、「なにも無い」日常をくどく描く必要は、ないのではなかろうか? その点だけ気に掛かった。

    ネタバレBOX

     蝉の鳴き声が苦痛になるほど体力が奪われる一瞬、ラストシーンをどう解釈するかで評価はガラリと変わる。自分は、2回目の長崎への原爆投下乃至は核の重大事故と解釈した。そう判断したのは、通常なら、戯曲作家が当然、それを題材として、戯曲を仕上げるようなテーマがたくさん挿入されているにも拘わらず、とば口だけ見せて、一切、発展しない作りになっていること。登場人物の喉の渇きが、何度となく描かれていること。水が来ないことが、諦めと共に描かれていること。立山と優子が鏡の破片で光を反射して悪戯をする時、異様な嫌がり方をすること。更に、雨水を「おいしい」と言って複数の人間が夢中になって飲むこと。これは決定的である。また、思春期の優子の気まぐれであるかのような訳の分からない、この街に対する嫌悪も、BaudelaireのAny where out of the worldに匹敵する強さで迫ってくることも。
     我々は広島・長崎で原爆が爆発した後、黒い雨が、凄まじい勢いで降った、という事実を知っている。まだ、息のあった被災者達は、それを命の水のように飲んだに違いない。無論、このように酷く汚染された水を命の水のように飲まねばならなかった被爆者たちの体は、焼け爛れ、皮膚のずるむけになった赤黒い体表からは、血とリンパ液が滴り落ちていた。それ故に、体中の細胞が呻いていたのだ。水ヲ下サイ、と。
     この事実に気付いた時、今作を観た観客は、背筋に慄然たるものが流れるのを感じるであろう。原 民喜の有名な詩を以下に引用しておこう。http://yoshiko2.web.fc2.com/hara.html
    水ヲ下サイ
    水ヲ下サイ
    アア 水ヲ下サイ
    ノマシテ下サイ
    死ンダハウガ マシデ
    死ンダハウガ
    アア
    タスケテ タスケテ
    水ヲ
    水ヲ
    ドウカ
    ドナタカ
     オーオーオーオー
     オーオーオーオー 天ガ裂ケ
    街ガ無クナリ
    川ガ
    ナガレテヰル
     オーオーオーオー
     オーオーオーオー

    夜ガクル
    夜ガクル
    ヒカラビタ眼ニ
    タダレタ唇ニ
    ヒリヒリ灼ケテ
    フラフラノ
    コノ メチヤクチヤノ
    顔ノ
    ニンゲンノウメキ
    ニンゲンノ


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