満足度★★★★★
面白かったです。
面白かったです。絶妙なタイミングで繰り出されるギャグに笑わせて頂きましたし。
謎が解けて縺れた糸が1本に展ばされる、という様な痛快感はありません。どっちかっつーと、解んない事だらけです。・・・でも、いいかな、って気持ちになりました。だって小さい頃、大人達の会話の「アレ」や「○○さん家の××さん」って、子供にはよく解らんシロモノだったし、解らんでも構わないシロモノだったもの。今の様に多機能電話もスマホもGPSも無い時代、メモと記憶だけを頼りに生きてた時代、不便だったかもしれないけど、とても愛おしい時代。ちょっと懐かしく思い出せました、私自身も。
「記憶」は確かにあやふやでいい加減で、絶えず移ろう厄介なシロモノですが、それはそれで・・・やっぱイイじゃないの?覚えておこうとする事こそが大切なんですよね?とも。
だから、サスペンスでもホラーでも無く、怖ろしいモノでも無く―――記憶のなかで甦ったゲンイチロウ兄さんはあんなにも清々しく優しかったのでしょう。動くことも語ることも何も許されない亡者が、唯一存在していいのは、生者の記憶の中だけですから・・・。