正統派、錆びず。キラリと光る明日を追い求め
「残りモノには福がある」という。
この格言が、クリスマス・プレゼントの交換会で、どれほどの少年少女を裏切ってきたか。
想像に容易い。
スミタ・ナオタカ氏は「正統派」だ。下手な踊りや笑い、事件に逃げず、ひたすら「ドラマ」を伝えている。
たしかに「叫び声」は小劇場のボリュームではない。「うるさい」と感じた観客も60㌫以上にのぼったはずだ。
しかし、スミタ・ナオタカ氏は、そうした台詞使いであっても、「激情」ではなく、むしろ「場を鎮めさせる」のだ。「ヒューマニズム」が彼の基盤にある。
「夢を追いかけているのか、
夢に逃げているのか」
この台詞が一番、素晴らしい。
普通なら国家試験を5浪した男を「現実から逃げている」と断罪する。スミタ・ナオタカ氏の記す「夢に逃げている」はニュアンにおいて近いが、夢に向かい努力する人間しか解らぬ文章だと思う。
浪人生活を続け、町工場就職を拒む葛西 正(スミタ ナオタカ)。彼女想いの男だ。雑貨店を飛び出すシーンは どうしても同情してしまう「寂しさ」がある。これはスミタのぽっちゃり体型ゆえかは不明だが、「背中で語る」ことを地でいく演技だ。
「現実」を直視していなければ、毎日憔悴することもない。
「パチンコ依存症」人間は「現実」を耐えられない弱さだろう。