満足度★★★
がんばれ!
阿佐ヶ谷で,『わが家』を観た。この劇団は,サロメや,賢治のあと,星に願い,と三作観たことがあった。メンバーは,いつもほとんど同じでやや親しみを覚える。劇場も毎回同じだから迷わない。少し路地に入り混んで,猥雑なビルの地下でやっている。
今回の『わが家』は,クリスマス・キャロルと似ていた。つまり,過去の世界に舞い戻って,ある男が,子ども時代を送り,恋愛し,破れ,別の人と「家族」を作り,最後破たんして死んでいく。そのような視点だ。もっとも,クリスマス・キャロルは非婚だったが。
ちょっと盛り上がったのは,ダンスだった。その昔,私の子どもの頃,ジョン・トラボルタが世界中にはやらせたスタイルがあった。指さきを天に向けて,腰をひねって,かっこつけていたものが印象的だった。過去の世界は,まさにトラボルタの時代だった。
演劇は,ミュージカルとちがって,結構難しい。歌って踊って,なんとなく楽しむのが,多くのミュージカルではあったが,演劇=ストレート・プレイって,基本中の基本だとは思うが,何を言っているか,良くわからないことも多い。
その点,この劇団の内容は,比較的わかり易い。まだ荒削りな部分もあるが,意欲的なテーマばかりだし,いつも感動的だ。歴史は浅く,五公演しかやっていない。二回めから観劇している。なんとなく観て来たが,そのような観劇もあって良いだろう。
満足度★★★
期待したい!
公演プロットは、よく演じられる内容…現世に未練があり、蘇り想いを果たすというもの。本公演は、照井民氏の処女脚本・演出(共同)とのことであるが、結末は予定調和で新鮮味に欠ける。また暗転が多く、観客としては集中力を保つのが大変かもしれない。公演全体を通して人に対する”優しい思いやり”の気持ちが大切…後悔しない人生を送るようにというメッセージを投げかける。訴えは、ストレートなセリフがあるから明確であるが、表層的な気がする。もう少し深堀した演出が欲しかったなぁ。
演技は硬くぎこちない。総じて若い役者(新人も出演していた)が多く、伸びしろがあるので、今後の公演を大いに期待したい(もちろん若い、照井氏の脚本・演出も期待している。それだけの力があると思うから…)。