満足度★
立ち行かない作品
短いエピソードを変奏しながら繰り返す作品でしたが、様々な面で力不足な為、説得力の無い自己満足的な表現に見え、70分と長くない上演時間にも関わらず体感的にはとても長く感じられました。
役者をしている男性が7年前に中途半端な形で別れた女性と再会し、はっきりと別れを告げるという、ストレートに演じると10分も掛らないプロットを、役者を次々に入れ替えたり、複数人が同時に同じ台詞を言ったり、異なる場面の台詞を断片的に交互に言ったりしながら何度も繰り返す凝った構成で、異なる選択肢の間で悩み、立ち行かなく心境を表現していました。
境界線が曖昧な劇中劇構造が活かされていなかったが勿体なく感じました。
使われている手法が要求する精度に役者の技術が達していなくて、格好付けた風な演技ばかりが悪目立ちしている様に感じました。
客入れ時から舞台上を走っていた女性が前口上を述べるのですが、もっと大袈裟で様式感のある台詞回しにしないと物語の枠の外にいる狂言回し的な存在感が出ないと思いました。
BGMの選曲にセンスが感じられず、特に日本語歌詞の曲が多用されていて台詞とぶつかっているのが気持悪かったです。衣装も必要以上に多色使いでゴテゴテしていて、視覚的にうるさく感じました。
作品に直接は関係しませんが、チラシにも当日パンフレットにもスタッフの名前が記されていないのが気になりました。