満足度★★★★★
「植民地」為政者の裏切りと阿る馬鹿
水から少しずつ熱を加えられて茹で上がってしまうカエルの話があるが、基本的にはアレ。どんなにカシコぶった所で所詮、一般的な人間の頭脳など、その程度のもの。F1事故の3年前に初演という作品で、或る意味予感していたような部分がある。だが、この「国」の為政者の無能は今に始まったことではない。無能という表記はこと為政者に限っては間違いで無脳と書いた方が現実を映している。ハッキリ言ってそういうレベルだからだ。パニックを恐れて云々抜かす前に、己を知れ、と言いたいが無脳な相手にそれを言っても意味が無い。まあ、そういう連中を「お上」と押し頂いて自らの主体性を誤魔化すことに夢中な大衆も無論、悪い。天災は、そのことを気付かせる為に起こったのかも知れない。だとすれば、この作品は、この後起こった人災に対する天才的な警告だったわけである。
色々な意味で面白い。
満足度★★★★★
緊迫感が…
今、本当になすべき事…、わかっているようで実は、実行出来ない。その人の立場によって行うべき優先順位が違うからである。そこに人間のエゴ・弱さが垣間見える。本公演では、市行政とマスコミ各社での役割・立場(職制の違いも絡め)によって、本当になすべき事が何か、危機的状況に陥りながらも建前で行動する人間の愚かしさが浮き彫りにされた。
演技は迫力があった。「流れゆく庭-あるいは方舟-」というタイトルから水害が想定できるが、本当に役者は熱演だった。制作スタッフによると、役者がインフルエンザに罹らないかが一番心配だったと。
さて、脚本・演出は見事で、最後の一瞬まで目がはなせない緊迫感ある芝居だった。
できれば、市民の目線(電話の問い合わせのみ)をもう少し描いてほしいような…(目線が多くなればそれだけ、問題の焦点が曖昧になることは承知しつつも)。
満足度★★★★★
体験を生かせるか
10年ぐらい前に都内でも集中豪雨で浸水被害がありました。
毎度ギリギリで回避されてきたので今回も大丈夫だろうと、今回の舞台さながらの危機意識だったのを覚えています。
結果、路地では胸元まで水が上がり、自宅は浸水被害にあいました。
情報過多な時代ですし、個人の状況判断や危機意識は必要ですよねーとあらためて思う舞台でした。
3.11クライシス 「憂い」こそ最大の「備え」だ
「TUNAMI」は世界語である。
2008年秋、投資会社リーマンブラザーズが経営破綻したことに伴う世界同時株安を「100年に一度の金融TUNAMI」だったと弁明したのはFRB議長(当時)グリーン・スパン氏であった。
2012年公開映画『ソウル・サーファー』は鮫に片腕を喰いちぎられながらもプロ・サーファーとして再起する少女ベサニー・ハミルトンを描いた実話のヒューマンドラマ。その裏には国際人権団体『ワールドビジョン』へ注いだボランティア活動がある。
彼女が復興支援に降り立つ2004年スマトラ沖大地震被災地のニュース映像(実際)で「TUNAMI」がナレーションされている。
ワンツワークスの本舞台が一度だけ強調(台詞)していた「備えあれば憂いなし」を、私たちは飲料水、保存用クッキー、懐中電灯に結びつけてしまう。
ところが、その逆に、震災へ対する警戒心は すぐ忘却する。
繰り返してはならない。
2004年にも、2008年にも、経済金融と、海の向こうで発生した震災という違いはあるが、CNNキャスターが「TUNAMI」を伝えていたことを。
物理的な「備えあれば」、決して「憂いなし」とはならない。東日本大震災に国土が呑み込まれた3.11を「憂う」ことが、私たちにできる最大の「備え」である。
劇団員・関谷美香子氏によると初演時と比べ「半分、書き直した」脚本らしいが、おそらく この部分であったと思う。
『ワンツワークス』は日本唯一のドキュメンタリーシアターを紡ぐ劇団。なぜ「当事者へのインタビューを演劇という形式に則り再現するのか?」といえば、それは社会的要求だろう。
つまり、福島第一原子力発電所事故作業員を直視した『恐怖が始まる』や、200○年○市河川災害を描く『流れゆく庭ーあるいは方舟ー』がドキュメンタリーシアターなる形式を放棄したからといって、この劇団「らしさ」は変わらない。
赤坂レッドシアターに噴水が出現か。セットは市役所災害対策室だが、その一部には巨樹が建つ。
木の枝からは「ジョロジョロ」水が流れる。
終演後には関谷氏、山下有佳氏、武田竹美氏がアフタートークを行い、「キャラクターを どう つくるか」について その考えを披露した。
本番中、記者クラブ会員や公務員のデスクワークだった机に用意されていたのは500㎖ペットボトル・ウォーター。
洪水災害は「水の脅威」だろう。それなのにもかかわらず、人間にとって「水は生命」であり、健康を維持するために欠かすことのできないパートナーだ。
3本のペットボトルが物語っていた。
関谷氏は(初演時から)「6年間経ったから苦労した。当時は素の自分を出せたが、今回はそうはいかない。若さを失った」と述べた。
武田氏は「私は読売で、高田(奥村洋治氏)さんは地元紙。上司か部下か…でも同僚ではなく他社同士。そこに気をつけてと古城さんから言われた。記者クラブならではの関係性が難しかった」と、振り返った。
※続く
満足度★★★★★
素晴らしいの一言!
古城氏の作品は注目して数作観劇しているが、今回は身近に起こりそうな深刻な問題を笑いも交えて、解り易く表現してくれた。
東京女子大名誉教授の広瀬弘忠氏とのアフタートークも興味深い。
2008年の作品に手を加えてのものだそうだが、とても新鮮に思え、脚本、役者の演技はもちろん舞台中央にある樹木を利用した演出は目を見張る。
このような作品と巡り合えるから、観劇は止められない。
満足度★★★★★
油断
災害に対する人の思考の甘さを痛感させられました。
他人事じゃない自分の事であるかのような危機意識の低さを登場人物が演じます。
3.11の地震からちょうど3年経ちました。
30年以内にこれまで経験したことのない地震が関東に来ると言われているのに、どこかで何とかなると思っている。
身に染みる素晴らしい演目でした。
満足度★★★★★
とにかく凄い
再演である。初演は2008年,あの悪夢の3年前。あの日を経験して,防災に対する意識は多少なりとも変わってはいるものの・・・。改めて,考えさせられた舞台である。でも,この舞台はそれだけではない。演出,演技,不満な点などどこにもない。最初から惹きつけられ,最後まで突っ走っていた。とにかく凄い!オススメの作品である。
満足度★★★★★
遊び心
この劇団、遊び心がたくさんあるんだけど、テーマはいつも深淵。大災害時こそ人間性、人間力が試されると思います。責任ある立場の人だったらなおさら。
私はこういう演劇や終演後のトーク等で常日頃から啓発はされているものの、有事の時にしっかりとした行動出来る自信はありません。
満足度★★★★★
3年後。その3年後。
初演は2008年、その3年後に震災があり、その3年後に再演。
先月には大雪での被害に対して対策や対応が問題となりました。
そんな時期に観たこの作品、とっても面白かったです。
戯曲・役者・演出、すべてがお見事でした。