四時の籾(しじのしいな) 公演情報 四時の籾(しじのしいな)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.4
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★

    歴史好きとしては……
    個人的には、芝居自体の尺が長いと感じました。
    台詞の掛け合いのテンポがイマイチ、そして声量が無く聞き取り難いと感じました。

    以降はネタばれBOXに書き込みます。

    ネタバレBOX

    はじめまして、コメントさせていただきます。
    私のような若輩者が大変恐縮ではあるのですが、思った事をかきこませていただきます。

    自分は歴史好きで史学科卒です。専攻は中世でしたが、史学にのめりこんだきっかけは幕末でした。ので、ちょっと思い入れがあり、コメントをさせていただきます。

    舞台装置、見切れの関係で野山獄が見難い席があったのではないでしょうか。芝居の大半が野山獄で行われるので勿体ない、さらに上手奥、松陰の居室の3畳間が良くできているのに使われていなくて……。もったいなかったです。

    台詞回しも、言いにくいなら現代意訳で充分だと思います。時代劇語(実際の当時の日本語ではないでしょうし、訛りも無いのでそう表記します)にしなければ、雰囲気が伝えられないというのであれば、それは欠陥だと思います。とにかく掛け合いのテンポが悪くて見ていて苦しかったです。役者さん皆様技量が無いわけではないのに。テンポが良くなれば120分未満で見せられる文章量だと思います。

    場面転換、特に「江戸」が分かり難かったです。
    自分は「世に棲む日日」を読んでいたので概ね分かりましたが……。もっと松陰の尊王思想の濃い所を描いていっても良かったのではないでしょうか。(描くと決して聖人にはなりませんけれども)

    時代を知らない人は見ていても「さっぱり」だし、知っている人は「(もやもや)」っとしたのではないでしょうか? というかしましたし、してました。(連れは日本史に詳しくないので)

    きっちり丁寧にしたいんだろうな、とは思いましたが、だったらもっときっちりやってください。
    周布様の衣装しかり高杉のキャラ設定しかり(高杉って良いトコのぼんぼんですもの。あれではゴロツキすぎる)。

    マサもなんで出て来たのかわからない、、、「高杉の嫁が何故?」と思って、そういう展開あるの? と思いきや無い、みたいな。んー。

    MEも銀○(アニメ)のBGMがちょいちょいかかり、SEも「いわゆる」という物だったしゲージも高すぎたのでそれも集中できなかった一端でした。照明も暗いと感じました。

    もっともっと、題材的には絶対面白い物が出来るのに、勿体ないと感じました。

    長々と大変失礼いたしました。
    社会人が芝居を作るのは大変ですが、がんばってください。
    同じ境遇者として、期待させていただきます。


    ――――――――――

    あと、これは私の個人的な感傷から来るただの憤りなので別に良いんですが、結核は高杉の死因ですので、使わないでいただきたかった……じゃあ、松陰→高杉でうつったの? みたいな。
    久坂も医者なのになんで気がつかないのよ! みたいな。
    もやもやしました。。。
  • 満足度★★★★

    種を蒔く!
    学問とは、先人から学び自ら実践し、後人に引継ぐことなのでしょう。
    吉田松陰の人となり、門人を含む身近な人たちとの結び付き、繋がれる志など良く解りました。
    スローテンポのせいか、途中じれったい箇所はありましたが、その分重厚な舞台でした。

  • 「聖人」吉田松陰が慕われる理由とは



    吉田松陰の出身地・山口県旧松本村を訪れると、絶対に発してはならない呼び方が あるという。
    もし、部外者が「吉田松陰」と呼び捨てにすれば、地元民は「松陰先生と言いなさい!」と顔を赤面させ、その後の人間関係にさえ支障が生じるらしい。


    そんな吉田松陰“先生”を舞台化するのだから、著書や歴史書を読み解き、旧松本村の方々にとっても無礼ではない人物像だったと思う。逆にいえば、「聖人」を描くばかり、亡くなった時は29歳であった、その「若さ」を感じることが できなかったのである。ペリー提督の黒船に潜み、アメリカ行きを試みた冒険心を映すべきだった。


    「明治維新」「尊王攘夷」を打ち立てた独立思想の持ち主なのだから当然、「朝鮮征伐」もセットだった。舞台では、「万民一君」の理念が塾生の間を巡るが、身分の違いを乗り越えた思想を説く「聖人」の面しか表さない。
    「富国強兵」の善し悪しは議論されるべきだろう。しかし、山県有朋等の国権主義者を輩出した松下村塾の、その攻撃性は描けておらず、やはり「新政府軍」「薩長同盟」側からみた吉田松陰なのである。

    私は今、短い文章のなか、七つも四文字熟語を提示した。国政選挙のフレーズを思い出せば、私たちが熱狂した文字数は四文字ないし、五文字の熟語が圧倒的だった。
    「政治とは言葉である」という例えもあるが、時代が動き出す際、「キッチリした造語が溢れる」のは世の常である。


    日本には人種問題が存在しない。だが、21世紀の今日ですら、山口県人と会津若松市民が腹を割って語り合う状況ではないことを考えると、「戊辰戦争」の遺した影は人種問題に匹敵する。1964年〜1973年のベトナム戦争時、韓国・朴正煕大統領はアメリカの要請に応じ、同盟国最大規模の計32万人を 派兵した。
    この部隊は「猛虎」という名を広め、戦闘中を問わない残虐行為ぶりから韓国に対する同国民の感情は極めて複雑である。


    NHK大河ドラマ『龍馬伝』にみられるように、「明治維新」という権力闘争を、志の持った脱藩武士達のドラマへ置き換えがちだが、その一方、『八重の桜』の物語も忘れてはならない。
    無形文化遺産『隠岐相撲』は、第一戦を闘い、どちらかが白星を取れば、第二戦では白星力士が負けなければならない掟が存在する。これが、離島を生きた島民による「敗者を労る精神」だ。
    少なくとも、旧幕府側の武士、民間人を犠牲にさせた思想のバックボーンなのだから、吉田松陰が完全なる「聖人」は あり得ないだろう。そこは、その人物の持つ「人間らしさ」を掴みたかった印象である。






    ただ、舞台は、吉田松陰役・大和鳴海の静かな語り調が安らぎを与えていた。他の血気盛んな若者がコメディ要素を出すごとに、その「聖人」が浮き彫りになる構図だろう。
    身体観に重厚さが欠けていたのは残念であったが、「幕末の恋愛」には女性客も泣いた。










    ネタバレBOX

    私が注目する役者は品川 弥次郎役・ いづみんだ。
    当初、背が低い女性が体型ゆえ、少年役に抜擢された事情を考えたが、なんと12歳らしい。
    高杉晋作役・中島羽飛が「何歳?」と問い、その質問に対し「16歳です」と返答したものの、なお「実際は?」と続く。彼女は4月より中学一年生になる小学生であった。
    戸惑いが笑いを生む。演技だとしたら、もっと困惑した方がよい。

    小劇場に出演する子役は、ミュージカル劇子役に負けない魅力を有することもある。迫真というか、「子供らしい子供」ではなく、現実の姿だ。
    いづみん(芸名?)を見て思った。
    それは、当初、背の低い、浅黒の、比較的 若い女性かなと観察していたからこそ再認識できたのである。
  • 満足度★★★★★

    見応えありました
    松陰のイメージがよく表現されていました。素直に演じるということの奥深さを感じました。とかく、過ぎた演技や意識された関係性の意識が眼につきますが、このお芝居は「醸し出す、にじみ出る」という自然な演技は見応えありました。

  • 満足度

    これは・・・
    上演時間、2時間予定。
    実際の上演時間は2時間30分、休憩なし。

    以降の感想はネタバレBOXにて。

    ネタバレBOX

    正直、辛すぎました。
    冒頭の斬り合いのシーンの刀の軽さ、迫力のなさがまず気になりました。

    全体を通して誰目線で見ていけばいいのかが掴めませんでした。
    始めはマサを中心に見ていけばいいのかと思いきや、いつの間にか松陰先生の方へ話が移行し、最終的には塾生の方へ。
    歴史の資料集を読んでいるような気分でした。

    また、終始空気がなかったのが何よりも気になりました。
    空気がないから変化がない。変化がないから飽きる。
    声は出てないし空気もないし、マサ役の方は早口で台詞が聞き取れないこともしばしば。
    稽古をどれくらいされたのか聞いてみたいと思ったくらいです。
    空気がない。パワーもない。それでいて2人のシーンでMもないし、長い。
    挙句長台詞が始まった時には正直、早く終わらないかなと思った位です。

    演出も、同じ絵ばかりで飽きてしまいます。
    上手奥の畳の部屋を使ったシーンは確か1シーンの一瞬だったと思うのですが、そのシーンの為だけにアクティングエリアを狭めてしまうのはなんだか勿体無かったです。

    役作りも甘かった気がします。
    高杉役、お船役の方はキャラが分かりやすく作られていましたが、それ以外の特に男役は誰が誰なんだか分からない人が多かったです。
    子役の方はどれくらいお芝居をされているのか分かりませんが、衣装を握る癖はなくした方がいいと思います。

    座席の間隔が広く、ゆったりと観劇することができました。
    受付の方の対応も良かったのですが、チケットの受け渡しがもう少しスムーズに出来るように工夫して頂けると有難いです。
  • 満足度★★★★★

    時代の鏡
     「酒が飲みたい夜」という石原 吉郎の詩があるが、そのフレーズに“酒がのみたい夜は 酒だけでない 未来へも罪障へも 口をつけたいのだ”というのがあって、実に、この詩のような感触を持った作品である。(追記2014.1.24)

    ネタバレBOX

     佐久間 象山の弟子には傑物が多いが、中でも勝海舟と本作の主人公、吉田 松陰は東西の横綱と言うべきか。黒船来航以来、江戸は時代も空間もひっくり返った。何せ、鉄で出来た黒く巨大な船が、海に浮いていたのだから、庶民はびっくりしてしまったわけだ。而もびっくりしたのは庶民ばかりではなかった。太平の世にうつつを抜かしていた幕閣も然りだったのである。
     このような状況を如何に正確に読み解き、欧米の植民地政策から身を守り、どのように身を処して行くのが良いか? これは喫緊の課題であった。その事を正確に理解し、どのようにするのがベストか、という具体的施策を持っていた大小の天才達が居た。勝にしろ松陰にしろ、その師であった象山にしろ、緒方洪庵の適塾に集った俊英達にしろ、薩摩の西郷たちにしろ、土佐の龍馬にしろ、傑物達が、命を賭けて如何に在るべきかを考えた時代のヴィヴィッドな空気を長州を中心に画いた今作。
     抜群のシナリオと主だった役を演じた役者達の力量、立ち居振る舞いや和服の着こなしなどの振付、演出の細部迄目の行き届いたバランスの良さ、適確な照明、音響の自然など、優れた舞台である。

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