燕のいる駅 公演情報 燕のいる駅」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★★

    いろいろな想い
    やっと石丸さち子さん演出の舞台を生で観劇。
    ギャラリーというコンクリート打ちっぱなしの空間が、駅員の休憩所になる。
    舞台装置をカバーできるだけの想像力を観客に働かせられる演技。
    そこに掛かる伊藤由華さんのつばめの絵がとても素敵で、こちらも生で拝見できた喜び。
    伊藤靖浩さんの生ピアノも心地よく…

    不条理にもやがて訪れる終わり。
    生きるということは、生きていくことなのだと。
    その怖さを早口でまくし立てる漫才師。
    あれだけ感情的な台詞をあの早さでも聞きとれる、というのに驚き。
    悲劇が待ち受けていても、人を思う気持ち、言わなければ伝わらないこと、そして、諦めないこと…
    それらが大切なのだと。

  • 満足度★★★

    燕のいる駅
    本編に出られなかった俳優のための短編上演がありました。発表会としての公演にふさわしい配慮と努力だったと思います。準備も本番も大変だったことと思います。

    ネタバレBOX

    本編「燕のいる駅」については、もっと呑気な空気で支配してほしかったなぁと思いました。
  • 満足度★★★

    役者、演出、効果、いずれも良かったのですが
    役者はそれぞれ好演されていて演出と効果も良かったのですが、漠然とした物足りなさが残りました。すぐ続けて上演された短編によって余韻が止められたのもやや残念。順番が逆だと良かったかも知れません。

    ネタバレBOX

    村人が逃げ出し、列車が途絶え、情報が隔離された駅で、燕の異常行動や不吉な雲が現れる。いろんな不思議現象の中で、駅に残された人たちは「しりとり」をして結束を図ろうとするのだが、心を開かない一人の男によって途切れてしまう。そんな中、各人が抱えた問題を解決すべく行動するのだがうまくいかず、また一人減っていく。列車到着の誤ったアナウンスの間隔がどんどん短くなって終末が迫る予感。
    役者はそれぞれ好演されていて演出と効果も良かったのですが、なにか物足りなさが残りました。作品の持つメッセージ(人種と友情、隔離社会、終末)に対してあいまいで漠然とした理解しかできず。
  • 満足度★★★★

    【A CAST】観劇
    土田さんの1997年初演版を観ることができました。

    ネタバレBOX

    環境汚染が進み、外国人排斥政策が施行されている日本人社会の世界を、断片的な情報から推測してみる話。

    日本村4番から外には出られない。線路沿いに歩けば出られるのかもしれない。パンダ型の雲が大きくなると人間は生きていられないらしい。居住が許された外国人にはバッジ装着が強制されていて、赤色の方が緑色より序列が上。

    日本人社会ですが、そもそも日本列島にあるのかさえ確証が持てません。原発事故による空気汚染を防ぐために、日本村ごとに透明のドームで覆われているように想像していましたが、病気の進行が早いので、村ごとに壁で仕切られているような気がしました。

    でも、そんなに急にみんな耳が聞こえなくなってしまったっけ。そんなに死が迫っていたっけ。もっと漠然としていなかったっけ。駅員のようにもっとのんびりと不安や滅亡が進行するんじゃなかったっけ。そもそも、漫才師なんていたっけ、巨大なミミズはいなかったっけ、と思っていましたが、今回のが1997年初演版ということで、観ることができて感激です。

    ところで、発表会的要素が強いので仕方ないのかもしれませんが、15分のアフターアクトの『侵入者』(脚本:宇野イサム)も含めて全体に一生懸命感が出過ぎていたように感じられました。小栗剛さんが出演されていたのは驚きでした。当日パンフレットで知りました。
  • 満足度★★★★

    あっという間の2時間ちょいでした!
    友人が出ていたので拝見しにいきましたが、色々考えさせられら利様々の解釈の仕方ができる不思議な本編に加え、
    ぐっと違う意味でも引き込まれた短編。どちらも違う面白さで素敵な舞台でした!
    近すぎるほどの間近でのお芝居。パワフルだったりこそばゆかったり切なかったり…。
    素敵なひと時を過ごさせて頂けた事に感謝感謝です!

    ネタバレBOX

    鍛えられた体の重要さを要所要所で感じました(笑)
    まずは自分も絞るところから始めないと…。。
  • 満足度★★★★

    最初はのんびりと賑やか
    始まりは、駅に取り残された6人が、緩やかで、賑やかで緊張のない展開である。暗転もうまく使っていたように思う。
    しかし、そこに1人の青年が加わると少しづつ話が締変っていくる。

    今の平和な今の世の中は、いつまで続くのであろうか。観終わって、いろいろと考えさせる中身がぎっしりと詰まった作品であった。

    うまく表現できず、間抜けな感想になってしまったが...

  • 満足度★★★★

    ふしぎなあかるさと のどかさ
    燕 のイメージのせいか このひょっとしたら絶望かもしれないものを ふしぎなあかるさをもって表現している

    最後の日を受け入れた時に 焦点のぼやけていた毎日が かけがえのない1日となる ということをラストに示してくれた

    喜劇ではけしてないが ハッピーエンド


    登場人物がみな 等身大で魅力的

  • 満足度★★★★★

    上手い
     チケットに開けられたパンチが燕なのだ。これで、一気に気に入ってしまった。期待は裏切られなかった。A castを拝見(追記2014.1.19)

    ネタバレBOX

     日本4番駅に集まった者は全員で7人。弟と待ち合わせた裕美 販売店従業員、戸村 駅員三郎と 高島、売れない漫才師、鈴木と本多 謎の男、佐々木だが、三郎は外国人認証バッジ(赤)を常時襟につけている。準日本人として扱われているが、他に黄色や緑色もあり、こちらをつけている者には大きな制限が課せられている。かつてナチスがユダヤ人にマークをつけさせたり、現在イスラエルがパレスチナ人に対して行っている具体的な法的差別だけで55もある実体を思い起こさせる。実際、現在イスラエルのシオニスト達がパレスチナ人に対して行っている差別は、ハーバード大学のサラ・ロイ教授の指摘する通り、かつてナチスがユダヤ人に対して犯した犯罪的差別と本質的に変わらない。(詳しくない方の為に説明しておくと、サラ・ロイ教授は、ガザに関する研究では世界トップクラスの研究者であり、彼女の両親は二人ともホロコーストサバイバーである)
     さて、今作の話に戻ろう。この駅には前夜最後の列車が出てから、一切列車の発着が無い。連絡も一切無いのだ。線路が何らかの理由で途切れたのか、来るべき列車が爆破されたのか、或いはもっと大きなカタストロフの為に、総ての連絡が途絶えざるを得なかったのか。一切が五里霧中である。残った人以外は、昨夜集落を発っていた。駅員達の休憩室の隅には、パンダのような模様の蜘蛛が居座っており、徐々に大きくなっている。
     改札ロビーに居る漫才師の内の1人、鈴木はキンキン声で癇に障ることばかり言い続けるクレーマーである。皆が迷惑がっているのを一切顧慮することもない。おまけに、裕美を戸村が休憩室に招じ入れると、自分達もロビーではなく休憩室で休ませろ、と捻じ込んでくる。仕方なく招き入れるが、相変わらずの無頓着で、他の人々に迷惑ばかり掛けている。そうこうするうち、集落を見回っていた三郎が帰ってくると、途中で奇妙な男を見掛けたと話す。鈴木は、「その人、何か知っているかも知れない」と連れてくることを提案。「既にロビー迄は連れてきている」という答えに直ぐ、皆で行きそうになるが、この男、酷く引っ込み思案で皆で行かない方が良い、と三郎1人で迎えに行き、何とか皆の所へ連れて来たものの、佐々木は緊張の余りか、素っ頓狂な声を張り上げたり、殆ど意味不明の言葉の切片を吐きだすだけで、ロビーへ逃げ帰ってしまった。三郎が再度呼びに行き、何とか連れ戻す為の条件を聞き出すことに成功したが、その条件とは、知らんぷりをしていて欲しい、ということであった。そこで、皆は、対策を練り、最初、休憩室に居る人間の数も減らし、奥に隠れた人達を呼び出すきっかけの合図も決め、佐々木を会話に巻き込む算段も整えて待つことになった。皆、自然を装いつつ、尻取ゲームをして佐々木を巻きこむことにしたのだが、佐々木から何とか聞き取れた言葉は、蜘蛛が大きくなったら、終わる。段々、耳が遠くなる。など漠とした話だけだった。だから、何故、何の連絡も入らないのか? 何が起こったのか? など皆が知りたい情報の核心は一切分からないまま、不安だけが募ってゆく。唯、三郎が矢鱈に眠ったり、誰彼と無く少しずつ耳が聞こえ難くなったり、弟を探しに実家へ行った裕美の帰りが不自然と思えるほど遅かったり、食糧が切れたので、食品を扱っている店へ行ってくる序に、裕美の家へ立ち寄る、と言って出掛けた戸村の帰りが矢張りまだだったりということが重なり、佐々木もいつの間にか姿を消して、不安ばかりが大きく重くのしかかってくる。漸く、戻って来た裕美は、食品販売店の前で佐々木を見た、と言う。然し、動いていないようだった、怖かったので確認はしていないが、と報告する。前後して、漫才師達は徒歩で脱出を図っていた。駅舎内に居る者は、終に世界の終わりを覚悟する。蜘蛛はどんどん大きくなっている。
     不安の増してゆく不気味さを、曖昧な情報を流しておいて、出掛けた人の帰りが不自然に遅いと感じられる残った人々の心理で描き、1人、1人、何か調子がおかしくなってゆく様を、実に示唆的に、完璧な表象で表してゆく所が凄い。
     実は、今作の後、短編が1つ上演される。楽しみにして欲しい。

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