満足度★★★★★
地方の劇団とかに見てもらいたい作品かも・・
洗練・エスプリと流れるような展開。
役者それぞれが自由自在に、
終末、籠の中から飛び立つ日を待つヒバリがもがくのを、時に見下ろし、
横切り、俯瞰する。
シンプルなセット。
人間然として舞台の上に立ち、存在する登場人物たち。
この自由さと洗練は、観客を求めて飛び回ることを念頭に置く地方の劇団には特に参考になるのでは?
セットなんて最小限で良い。
場合によっては、その町で調達したって良い。
スペインリーグで時たま見かける
ちいさな町の洗練された組織と溌剌さをを持ったサッカーチームのようだった(笑
満足度★★★★
演出家なしで作られた作品
演出家を置かずに役者達が話し合って自ら演出するという方法で作られた作品で、基本的にリアリズムな演技でありながら、役者自身と演じる役柄との境界を行き来する趣向が所々に施されていて、風通しの良い新鮮な雰囲気がありました。
開場すると既に役者達が舞台にいて、客に話し掛けたりしている内に自然に冒頭シーンに繋がり、その後は基本的に戯曲通りに展開しました。
4人の役者は出番ではない時も舞台上の隅に居て、ノーラと夫・トルヴァル役以外の2人はそれぞれ2役を兼ね、しかも服装も演技もあまり変化を付けていないというミニマルな演出だったので、『人形の家』を観たり読んだりしていない人にとっては少々混乱しそうな作りとなっていました。
第1幕に当たる部分では客電が点いたままで進行したり、会話シーンで相手ではなく正面を向いて客に話し掛ける様に台詞を言ったり、小道具を忘れて裏に取りに行ったり、音楽や照明のタイミングをオペレーターに指示したりと、劇場空間全体を取り込むことによって、描かれているテーマが過去の異国の話ではなく、現在に繋がっていることを示唆していました。その見せ方にスノッブな嫌らしさが無く、力みの無い自然体な演技だったのが魅力的でした。
ノーラが旦那を引き留めるために踊るシーンや、クリスティーネとクログスタが復縁するシーンでは意図的にみっともない身体表現が用いられていて、強く印象に残りました。
舞台裏が丸見えの素舞台で、白リノリウムが敷かれた中央のアクティング・エリアに置かれた最小限の家具や、バトンを下げて視界に入る位置に吊された灯体といった、即物的なヴィジュアル表現が格好良かったです。