有頂天家族 公演情報 有頂天家族」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★

    若さ溢れるスピード感
    森見登美彦原作、松村武演出の音楽劇。

    若くて気力も体力もみなぎる俳優たちを、脂ののったベテラン勢が支え、さらに重くなりすぎない超ベテランという構成で、エネルギー溢れ、スピード感のある、楽しい舞台を見せてくれた

    ネタバレBOX

    カムカムミニキーナの松村武さんが演出しているので、カムカムミニキーナ的な印象が強い。
    すなわち、台詞が早くて膨大だ。

    いわゆる「地の文」まで全部読むという方法で、役者はフル回転する。
    若い役者とベテランが見事にそれをこなすので、もの凄いスピード感がある。

    息抜きする場所がないぐらいに疾走する。

    原作もアニメも見てないのだが、キャラクターがとてもはっきりしていてわかりやすい。
    「化ける」という設定もあるため、同じ登場人物を別の俳優(しかも男女も違っていたりして)が演じたりするのだが、その切り替えがスピーディなのだが、演出のうまさか、とてもわかりやすい。

    主人公が女性(女優)に化けて、そのときの心境を、もとの主人公(男優)が語る、なんていう方法もうまいし、楽しい。

    主人公たちは、タヌキであるのだが、タヌキはバジリコFバジオの木下実香さんこと、KINO4TAさんの手によるものである。
    なので、少々アクが強い。だからとてもこの舞台に合うのだ。
    それぐらいの強烈さがないと、この、いろいろたっぷりな舞台では埋もれてしまうからだ。

    全体的に若さがまぶしい。
    溌剌としていて気持ちがいい。
    やる気が漲っているようだ。

    主人公を演じた武田航平さんは、膨大な台詞をこなし、最後までポテンシャルが落ちることなく、がんばっていた。それが爽やかだった。

    女優陣がとてもいいのだ。
    元タカラジェンヌの樹里咲穂さんの身のこなしはさすが。
    佐藤美貴さんの怪しい美しさもいい。
    そして、何より、新垣里沙さんがキュートで、身体のキレがよく、歌もいいし台詞もよく通る。
    あとで知ったのだが、元モーニング娘。のメンバーだという。
    こんな素晴らしい子がいたのかと、驚いた。
    このまま舞台に出続けてほしいものだ。

    さらに、小手伸也さん、小林至さん(双数姉妹)、成清正紀さん(KAKUTA)の3人の、脂ののったベテラン勢がうまいのだ。
    数多くの役を瞬時にこなし、黒子までも、汗だくでフル稼動していく。
    役の切り替えのうまさ、それぞれの役割の確かさで、若い俳優たちを支えていた。
    彼らがいなければ、この舞台のスピード感は出なかったと思う。

    もちろん、久保酎吉さんも確かな演技で舞台を締めていた。超ベテランなのだが、あまり重くなりすぎず、いい塩梅の軽やかさだった。

    若くて気力も体力もみなぎる俳優たちを、脂ののったベテラン勢が支え、さらに重くなりすぎない超ベテランという構成で、エネルギー溢れ、スピード感のある、楽しい舞台を見せてくれた。

    音楽劇としていて、歌は全部で7曲ぐらい。
    どの歌も観客にきちんと届きとてもよかったので、もっと多くてもいいかなというところもある。

    タクシーのシーンなど、細かいところを、あえて「人力」で演じさせる演出が、とても演劇っぽくて、いいな、と思った。
    役者は大変だと思うが、これがあるから、さらに味わいや奥行きが出たのではないだろうか。

    私の行った回は劇場の後ろのほうに空席が目立っていた。
    もったいないな、と思った。
  • 満足度★★★

    賑やかな作品
    森見作品の中で一番好きな作品なので、期待半分怖さ半分で観劇。
    全体的にコミカルでわちゃわちゃとした賑やかな楽しい作品でした。

    途中15分の休憩を挟んで3時間弱という長丁場でしたが、
    勢いがあってあっという間に感じました。
    ストーリーは原作に沿った形になっていて、エピソードはほぼ網羅されていたと思います。
    若干説明不足の感があったので、原作を読んでいないと序盤はちょっと戸惑うかも知れません。

    しゃべる狸や蛙、蕎麦屋や叡山電鉄に化かす場面など
    原作に登場するファンタジーなシーンもうまく表現できていたと思います。
    多少無理がある演出もありましたが、そこも含めてコミカルな演出になっていて違和感はあまり無かったです。
    毛玉状態の狸は可愛かったですが、人形?状態の狸はちょっとリアルで怖かったかな(笑)

    森見節を活かすために原作では地の文に当たるところもセリフとして盛り込まれていて、セリフ量がかなり多かったです。
    場面によっては早口言葉のような状態になってしまっていて、
    演技になっていないような場面やセリフを噛んだり詰まったりが散見されました。
    勢いとスピード感のある作品になっていたとは思いますが、何かダイジェストを観たような感覚になりました。

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