The Last Minute 公演情報 The Last Minute」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★

    少しはマシになったが
     自分の死に納得のゆかない魂がやってくる場所には、その生涯のハイライトを映す装置がある。そこで死に至る詳細を映しだされた魂の多くが、納得してあの世に旅立つという寸法だ。
     今作で実際にハイライトが映し出されるのは3組のカップル。

    ネタバレBOX

     第一話は、リオデジャネイロと思しき場所、明日はカーニバルという日に、若く情熱的なカップルが出会い、互いに一目で恋に落ちた。然し、カーニバルの絢爛たるカップルの中でも特筆されるべきこのカップルは死神にも気に入られてしまった。この後の展開はトリスタン・イゾルデ伝説に準ずるような形だ。
     第二話は19世紀パリ、ムーランルージュ辺りが舞台だ。ロートレックに擬した、内容は余り似つかぬ貴族と、海外からやって来た貧乏小説家が、ムーランルージュの華を取り合う話である。貴族の性質は下司、自らの力を用いて華を落とそうとし、飴と鞭を使い分ける。飴はパリの一流劇場で花形女優としてのデビューと店への資金援助&保護、鞭は、彼女の惚れている小説家の殺害である。彼女は、小説家に連れない素振りを見せて振りはするが、無論、彼の命を救う為。だから、薔薇を一輪彼に投げる。彼もその意味する所に気付かぬ“みむめも”ではないから、とどの詰り、二人の恋は再燃し、という結末だ。
     第三話は、二話迄が、かなり象徴的な手法で構成されていたのに対し、パロディー形式が採られているように解釈した。然し、音楽の使い方等に、誰でもそれと分かる太いメッセージ性が無く、二話迄は、曲がりなりにも象徴的と解されなくもなかった手法では無い形式が採用された為、シナリオの不分明と相俟って中途半端な感覚を観客に与えて仕舞った。三話をパロディーではないか、と解釈したのは、チンピラ同士の喧嘩シーンがたくさんでてくるので、ウェストサイドストーリーのパロディーと解釈したわけだ。だが、そうとハッキリ認定できるようなヒントも自分には見付けられず、シナリオ自体に中途半端であった点に難があるように思われた。
     また、オープニングでは、偉くプレシオジテを感じて仕舞った。その上、ピアノの音が冗長で、とてもプロの音出しとはいえない。少なくとも自分の回りにいる音楽家達のレベルに達しておらずイライラした。この程度のピアノの腕で気取らないで欲しい。声楽はまあまあ。踊りもまあまあであった。
     舞台内容とは関係が無いが、重要なことを一つ。座席指定にするなら、ナンバーに規則性を付与するのは当然のことなのだが、それができていない。結果、とんでもなく着席に時間が掛かり、舞台が始まる前に観客は印象を物凄く悪くしている。幼稚園の子供ですら分かることだが、限られた時間内で素早く的確に観客に定位置に着いて貰う為には、一目でそれと分かる規則性のあるナンバーの振り方にすべきである。こんなことすら出来ないとは、その能力に疑いを持たれても致し方あるまい。
     舞台上は総合星三つ。客入れの要領については、星1つ。幼稚園児にも劣る。総合星2つ、以上。舞台の踊りなどは、それなりだし、プロレベルなので、お勧めにはしておく。

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