犯行予告 公演情報 犯行予告」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.4
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★

    観念的で消化不良感ぬぐえず
    今回も会話劇だと言うので、「つぎとまります」の充実度を期待したが、前作の「ま・ん・だ・ら」に共通する消化不良感がぬぐえなかった。

    入れ子構造のアイディアは面白いが、私には成功しているとは思えない。

    「不条理劇をめざしているのではなくあくまで結果」と作者は言うが、不条理劇としてどうか云々よりも、表現力をもっと磨かないと、訴えたいことが明確に伝わらないと思う。

    「わかる人にはわかるはず、自分はちゃんと説明した」という姿勢を貫くなら、「そうですか」としか言えないが。

    「大切なものは人それぞれ違う」ということと「人はみな自分の真実の姿には気づいていない」ということが主題なのだろうか。

    まちがっているかもしれないが、私にはそうとしか解釈できず、「ま・ん・だ・ら」同様、観念的な作品に思えた。サスペンス仕立てにしたことで、サスペンス部分に不満が残るため、入れ子効果が分離しているように感じられた。

    息詰まるような会話劇を期待したが、みごとにアテがはずれた。

    不条理劇は理詰めで見るものではないが、観念的な台詞を入れてくるので中途半端になり、主題がぼやけてしまう。

    ネタバレBOX

    まず、冒頭の御手洗と山田の会話が私にはまったく退屈で、会話の「間」が悪く、魅力を感じなかった。

    御手洗の「えー」というリアクションが判で押したようで、しかも、演技の「間」が作者のフジタ氏の特徴が出ているので、フジタ氏の考える「間」なのだろうが、それが役者の肉体と合致していないのが気になった。

    ツンデレ娘の山田とのやりとりもパターン化されて面白みがない。


    怪盗キースにまつわる部分の舞台が設置されていく場面は面白く、音楽と共にそこだけが印象に残った。

    いざ、サスペンスが始まると、キースの周囲の登場人物が「ま・ん・だ・ら」同様、ばらばらに拡散されていて、ただの点景におわっているように思える。

    伏線らしいものがあるが、人物が単なる駒のようで、有機的に結びついて行かない。

    警備の黒澤はなぜ、宝石商を殺したいほど憎んでいるのかわからないし、宝石商への殺意を告白されても、神田川刑事が殺さないように念押しするだけで、その部屋から出て二人だけにするなど、警察の対応としては現実にありえないからしらけてしまう。

    宝石商にイチゴをもらって食べた黒澤が部屋を出てからうめいたので、毒でも入っていたのかと思ったら、平然と戻ってきたので、何のうめき声だったのか私にはわからなかった。

    妻子と別居している神田川も宝石商親子のぎくしゃくした親子関係に想いをいたすわけでもなく、娘がキースにキャンディを盗まれた設定が生きてこない。

    ラストに、バニティケースからキースの盗品が出てきて、神田川が御手洗を逮捕しにくるが、それでは御手洗が自覚のないキースなのか?

    でも、バニティケースは山田の所持品なので、解釈に迷う。

    なまじ暗示や比喩を入れるのでわかりにくいのだ、不条理劇とさえいえない中途半端な劇だと私は思う。

    難解な不条理劇で100%理解できなくても楽しめる秀作はある。私が不条理劇が苦手というわけではない。歌舞伎など優れた不条理劇の典型だ。


  • 満足度★★★★

    ぐぐぐっ、と。
    思ったよりも小さい劇場。徹夜の編集部?の閉塞感と宝石泥棒を待つ夜の息苦しさと同じ時空のようでした。

    軽妙な会話から始まり、あっという間に世界に惹きこまれました。
    特に終盤に向けてすべての伏線が繋がっていって見事でした。

    欲を言えば証明が暗すぎて、現実世界での二人の顔が暗く、表情が見えづらい時があった。
    でもこれからが楽しみなお芝居でした。行ってよかった。

  • 現実と妄想が入り混じる
    何故、この劇団名にしたのだろう?
    このサイトで、初めてこの劇団を目にした時の印象。

    クールビューティー(テンション低い&突然吹き出す)山田と、ちょいお馬鹿&いい人御手洗の会話は面白い。
    山田曰わく「御手洗さんって、ほんと御手洗さんですよね。」
    この二人、仲良い。(山田は「嫌です」と即答しそう)
    ツンツンしつつも、ちゃんと御手洗の会話レベルまで降りて会話するところとか、何か良いね。

    一つ注文つけるとしたら、御手洗の起こし方かなぁ。
    何故お茶っぱの缶?

    所々に笑える場面(爆笑でなく、ふふっと笑わせる)も散りばめられている。
    そしてラストの展開には驚かされました。
    「そう来たか!」と。

    ネタバレBOX

    終電もなくなった時間の、出版会社。
    山田と御手洗は会社に泊まることになる。
    その中で、ターゲットの大切なものを盗む「怪盗キース」について話す。
    山田と御手洗の“妄想”という形で、キースのある怪盗劇が展開される。
    キースは誰なのか?何を盗もうとしているのか?

    しかし、これは妄想ではなく、実際に起こった事件だった。

    夜が明け、山田と分かれた後、御手洗が山田の「メイクボックス」を開ける。
    そこに入っていたものは……。そこに響く神田川警部の声。
    そこで観客はすべての真実を知る。

    「誰がキースなのか」と考えていた私がいかに浅はかだったのかということを思い知らされた。

    その人にとって、一番大切なもの。
    時価一億は下らない宝石よりも、大切なもの。
    観ながら、自分にとっての「大切なもの」って何だろう?と考えさせられる。
  • 満足度★★★★

    無題941(13-380)
    19:30の回(晴)。19:00受付、開場、最前列ベンチシート、後方は椅子席。「つぎとまります(再演 2012/12@王子...田中さんの不思議な雰囲気が印象的、もう一年経ったような気がしません)」以来の2作目。フジタさんは客演(偽典・地獄変 2013/4)をみているので3作目。

    舞台をみると、床に白線、1/4円と直線で仕切られたものは間取り、左右の壁に服や布がかかっていて、椅子、スリッパ、ノート、ポット、急須、湯呑。奥には黒い台がいくつか。19:27前説(80分)、19:30開演~20:57終演。

    今回から台本をCDで販売。「つぎとまります」は「舞台写真」「オフショット写真」付500円...購入。音声は...初演時のDVD(画像は粗いけど)を持っているのでした。

    横手さん(シンクロ少女)は今年6作目。手前の世界と奥の世界を切り分けた構成で、それを「舞台」が覆っています。


    ネタバレBOX

    なぜか「ルパン三世」を思い出すのです。犯行予告、キースを追いかけ続けている男、実はすでに潜入しているかもしれない...。

    手前の二人と奥の4人とのつながりがなぜかしっくりこないかんじ、また2人がじっと座っているだけというのが気になってしまいました。

    「創二」は毎回リゲインを飲み干す...ということは土曜日は3本。
  • 満足度★★★★

    良く練られたシナリオ
     ヒトはマトリョウシュカのように入れ子構造になっている。そんな哲学を持つ怪盗キースは、神田川専任警部が追う謎だ。(追記2014.1.2)

    ネタバレBOX

     必ず犯行予告を出すのだが、狙う物が何なのか、皆目見当がつかない。被害者にとって一番大切な物を盗むという特徴があり、決して殺しなどの手荒な真似はしない。いささかダンディーな怪盗である。被害者も大人とは限らない。女の子のキャンディーをごっそり盗んだこともある。ところで、今回狙われたのは、資産家の石倉 金蔵。彼の持つ高価な宝石がターゲットと一応考えられるのだが、確実にそうだとは言い切れない。何せ犯行予告をして来たのはキースなのである。
     一方、編集者の御手洗は校正に追われて徹夜態勢だが疲れて居眠りをしている。が終電を逃したという同じ社の山田に起こされる。彼女はタクシーで帰宅するつもりだったのだが、経費で落ちない、と言われ社に泊まることにする。徒然に御手洗と尻取をしたり、去年御手洗が嵌っていた怪盗キースに思いを致したりして夜を明かすが、舞台そのものが、この編集部の演じられる場面を外側としその内側に犯罪現場が設定してある。それも単に、犯罪エリアを示す床に画かれた境界線によって。2次元で示されたこの境界は、役者陣の演技によって見事に演じ分けられ3次元として機能するのだが、この辺り、実に上手い。というのも物語自体、入れ子細工になっているからである。
     犯罪現場に登場する人物は4人。石倉 金蔵と息子の琢己、宝石のガードをしている黒澤、そして神田川警部である。警部はキースは必ず来ると確信しており、既に4人のうちの誰かに化けて忍び込んでいると考えた為、4人全員が現場で夜を明かすことを提案するが、手洗いなどのこともあり、2人ずつが必ず現場に残るという形でシフトは息子が組んだ。
     だが、犯罪は実行された。大切な物は盗まれたのである。それも、各々が仮面をつけて生活を送りながらも密かに、人によっては自分がそうと気付きもせずに大切にしていたものが盗まれていた。更に、最後のドンデンでは、盗品は、犯罪場面を描いていた舞台にではなく、編集部に置かれている。入れ子構造そのままに。
  • 満足度★★★

    KY
    面白い。80分。

    ネタバレBOX

    深夜、出版関係の会社。校正期限の迫った御手洗(横手慎太郎)と、クールな山田(田中渚)の会話に、世間をにぎわせている泥棒・キースがあがる。キースファンの御手洗と興味なさげな山田がキース事件を妄想する…。

    メインは御手洗と山田の会話劇。入れ子な劇中劇にとりたてて魅力は感じないが、終盤の二人の会話とオチ(山田の残した化粧箱に劇中劇での盗品が入ってて神田川刑事が御手洗を逮捕にくる)で活きてくる。まあ、それでも若干退屈であったけど。

    みな空っぽで仮面かけてて、でも大切なものを持っててってのは、じんわり来た。何が大切か自分では分ってないけど、それでも多分何かはあるんだろうなと。てかそう信じたいなと。

    メイン二人の会話の調子は好き。ちょっとだけ男女な感覚をもたせつつ、積極的に距離が縮まらない感じとか。山田が御手洗に大事なもの何って聞くとことか。キャラもいい。
    横手のふわっとした優男でズボラな感じと、田中の野暮めなクールビューティでちょっと変わってる感じが、妙にマッチしてた。

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