満足度★★★
表出の仕方
あるキャラクターが物語の中に入り込んで作品を書き替えてゆくという発想は、目新しい訳ではない(例えば、レイモン・クノーの“イカロスの飛行”など)が、大体、その替え方の妙を楽しめるのだが、今作では、アイデンティティーやジェンダーの問題を扱おうとしながら、それがセンチメンタリズムに堕した形で表出されていた点に難がある。つまり普遍化されていないのだ。もう少し、演出や編集、社会学や哲学の勉強が必要だろう。
満足度★★
厳しかったかも
日本人演出家による作品で,ストーリーもわからんでもない。あとは,演出というか演技の問題なんだけれど,台北の役者さん,自分には無理だったかも。やっぱ,自分,日本人だよね。なんか,やたら大げさな感情表現がどうも・・・苛立つっていうか,嘘っぽいっていうか・・・とにかく落ち着かなかった。
満足度★★
熱演ではあったが…
楽しもうと努めたがかなわず、睡魔との闘いに…。
本好きが高じて図書館員になった女が繰り返し読んでいる台湾の悲恋物語に不満を感じ、本の世界に入り込んで中身を書き換えようとする。
なぜこんな劇が、それも日台合作で作られたのか、その意味が分からない。
役者陣は熱演していたが、その熱の向かう先がどこなのか図りかねる。
本の中の出来事として描かれる三角関係の物語は日中台の関係を暗示しているのかもしれないが、仮にそうだとして、早回しの映像を観ているような超急ピッチな演技とめまぐるしく切り換わる字幕を追うのに観客は精一杯で、受け取るべきメッセージを落ち着いて受け取れない。
加えて、夫ともう一人の男の間で揺れている夫人が池に浸かって男を待っているという意味不明な設定がこちらの頭を混乱させ、ますます理解を妨げる。
そういうワケの分からない設定をもうけるのなら、せめてそのシチュエーションから笑いを作り出すくらいのことはして欲しかったところ。
また、「リアルとフィクション(中略)が交錯する」と説明文にあり、これは映像と演劇のコラボレーションを指しているのだろうが、それら2つは並列しているだけで、決して「交錯」してはいなかった。
そんなこんなで楽しさも刺激も感動も何ひとつ得られず、なんとか眠気に打ち勝ってカーテンコールを目にした後は“最後まで観抜いた!”という不毛な達成感だけを胸に劇場を去ることに。
矢内原美邦のような天然タイプの演劇人が作る芝居は、天然なだけに当たり外れが大きいなぁ…。
『静かな一日』は当たったのだが…。
ステージングや美術はカッコよかった。