満足度★
参加型作品
役者やダンサーが何かをするのを観るのではなく、自ら建物の中を移動することによって自分自身を捉え直す体験をする作品でしたが、その様な参加型の形式を用いる必然性が感じられず、単純化されたオリエンテーリングみたいな印象を受けました。
20名程度の参加者が「You are here」と書かれたスタート地点でくじ引きを行って指示書が渡され、それぞれに与えられた「特定の物を集める」、「ひもを辿って行く」等の指示をこなしながら建物の屋上へ進み、そこに用意されたスクール机&椅子に着席して擬似的なクラスルームが行われる展開でした。
先生が参加者全員の名前を読み上げ出席を取った後に外に向かって名前を呼び掛けると、どこからか返事が聞こえ、外周部の手摺に近寄ると、会場の建物のより1階低い隣の建物の屋上に「I am here」と書かれた旗を持った人達がいて、輪になって走って旗をはためかせるパフォーマンスがあって終わりました。
先生と出演者の点呼のシーンはこの会場ならではの演出で、一気に世界が広がる感覚がとても美しく印象的でしたが、それ以外の要素は作り込みが甘く、フルクサスや寺山修司といった観客巻き込み型作品の先行例(リアルタイムでは経験していませんが)の劣化コピーの様に感じられました。