満足度★★★
振付家/ダンサー
振付家/ダンサーの白神ももこさんと酒井幸菜さんがお互いに振り付けした作品のダブルビルで、自身が踊らなくても作品に振付家の個性がはっきりと出ていたのが印象的でした。
酒井幸菜作品(出演:白神ももこ)
3本の棒が水平に吊されていて、眼鏡&腕カバーを身に付けた冴えない感じのOLに扮した白神さんがそれを数分間動かずに見つめる場面から始まり、日常の様子がダンスとして表現され、後半では箸で器からグラスへ豆を移し替える動作がじっくり描かれた後に豆を撒き散らして踊り、最後は倒れ込んで棒の様になる展開でした(休憩時間中もずっと固まったままでした)。
アフタートークで酒井さんが触れていましたが、安部公房の『棒になった男』の影響が感じられました。感情が伝わって来る様な、滑らかなフォームの振付が美しかったです。
白神ももこ作品(出演:酒井幸菜)
ぴったりとした白い衣装を着た酒井さんが、『リボンの騎士』の音楽や三輪明宏さんの歌に乗せて、様々なサイズの棒と関わりながら踊る作品で、性的な要素がありながらも嫌らしさがなく、朗らかな雰囲気を感じました。
撒き散らされる多量の割り箸の中で、足と棒で床を打つ動きを繰り返す最後の場面に何とも言えない神々しさを感じました。
髪飾りと思わせておいて実はハタキだったり、OL姿のままの白神さんが上手奥でひっそりと佇んでいて次第に酒井さんと関係を持ち始めるといったユーモアがいかにも白神さんらしくて楽しかったです。
両作品とも悪くはなかったのですが、振付家自身が踊った方がもっと作品の魅力が増す様に思えて、もどかしさを感じました。