ミュージカル「最後の真珠」 公演情報 ミュージカル「最後の真珠」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    アンデルセンのいわんとすること。
    アンデルセンの『最後の真珠』

    三鷹にある子どもミュージカル教室のイマジンは,この夏,アンデルセンの『最後の真珠』をやっていた。この作品は,無名で,探してみたものの,やっと全集2の中に発見し,それが,非常に短いものであることに気がついた。

    アンデルセンのいわんとすることは,財産やら,健康なんてものがあっても,人間には,もっともっと大事なものがあるんだよ。という,メッセージだろう。それは,意外と,悲しみの感情であり,悲惨な体験,というものだったりする。

    アンデルセンは,まさにキリスト教の国の人であり,聖書の世界がその思想のバックにある。聖書では,人は,悲しみに会うと,かえってしあわせなんだという。悲しみに会うと,その時,主に,神様に近くなる。悲しみが深くなるほど,神様に近づくのだ。

    人生において,悲しみなど少ない方がいい。悲しみが深くなり,心配ごとが多いと,山本太郎みたいに,十円はげになってしまうかもしれない。だから,悲しみは,あって欲しくないけど,悲しいことがある時,人生って,なんのためにあるのか,と思うもの。

    劇中,おもしろかったのは,怒りの妖精たちだ。アンデルセンの原作には,ないが,怒りとの付き合い方で,人は結構しあわせになれる。やたら,怒ればいいってものじゃないさ。怒りの場で,水戸黄門みたいに,がはは!と笑える人はなかなかいないだろうが。

    ことばの遊びもおもしろかった。ナイツが,言葉をことごとく聴きまちがって笑いを取っているが,今回は,守護霊の名前をみんなで意図的に何度もいいまちがっていた。笑いというのは,少ししつこくやると,臨界点に達して爆発するものなのだろう。

    全体としては,しっとりといい感じで,まとまっていた。昨年は,大木の精霊が非常に美しくて感動したが,スーパー母さんの存在が目立ってうとましくもあった。今回は,途中で出てきたバレリーナがかわいく,そのほかのダンスも素敵だった。

    イマジンは,『天使といた時』『オリバー・ツイスト』という懐かしいミュージカルがあり,『満天の星空』なんかにも,一部参戦していたが,基本的に,地味なローカルな発表会的団体だ。でも,取り上げる作品は,文学作品ばかりで,大好きだ。また,最後に定番で,子どもの方がいい!という歌も楽しい。また,いつの日か。

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