満足度★★★★
リーディング&シンポジウム
拝見したのは、日本演出者協会主催の近代戯曲研修セミナーin東京「火山灰地」第二部のリーディング公演である。本来、この戯曲は、一部、二部で7時間以上に及ぶ大作だが、今回は、各々、2時間15分程に削っての公演である。演出上、残したのは、農民の生活、研究者の論理である。
因みに、第二部の完成は、1938年、2.26事件の2年後だ。盧溝橋事件の翌年でもある。時代は、急速に右傾化し新劇運動にも体制の圧力が強く掛けられる時代になっていた。左翼は、四分五裂、解体を余儀なくされてゆく。当然のことながら、作品表記に関しても細心の注意が払われなければならなかった。久保 栄は、その為、大切な科白・表現を隋所に散らしたり、治朗“入隊”の表現を避けて、軍部隊の居る地域名、上川を出すだけに留めている。
(追記2013.9.30)