第36回 納涼能 公演情報 第36回 納涼能」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    シテ方五大流派による名曲集
    能に詳しくなくてもタイトルは聞いたことがあるような有名曲目による番組で、金春流・喜多流・金剛流・宝生流・観世流のシテ方の五大流派をまとめて観ることによって、それぞれの特徴を感じながら楽しめました。

    能『田村』(金春流)
    坂上田村麻呂による鈴鹿の鬼退治を描いた物語で、品格のある雰囲気が魅力的でした。
    地謡の表現が印象的で、地から湧き上がる様な出だしや後半の激しいテンポの変化が物語をドラマティックに描写していました。大鼓と小鼓の息がピッタリと合っていて、心地良い緊張感がありました。

    狂言『酢薑』
    薑(はじかみ=ショウガ)と酢の商人が場所争いをする物語で、お互い「から(辛)」と「す」を織り込んだユーモラスでリズミカルな会話の流れが楽しかったです。
    柄on柄で、しかも多色使いなのにチグハグに見えない装束のセンスが素敵でした。

    仕舞『高砂』(喜多流)
    謡も舞いも装飾性がなく素朴で、質実剛堅な印象がありました。

    仕舞『羽衣』(金剛流)
    優雅さを感じる舞で、空気の質量を感じさせる扇捌きが美しかったです。

    仕舞『鞍馬天狗』(宝生流)
    キレが良く迫力のある動きで、数分の間に物語性が感じられました。

    能『葵上』(観世流)
    葵上に取り憑く六条御息所の生霊を成仏させる物語で、鬼の姿となった生霊と修験者の息詰まる争いに引き込まれました。
    舞台手前に置いた小袖で葵上の姿を表したり、般若の面を着けながらも仕草や顔の角度で深い悲しみが伝わってきたりと、ミニマルでありながら効果的な演出が興味深かったです。

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