動物たちのバベル 公演情報 動物たちのバベル」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    実験
     三幕構成。開幕早々、暗転した舞台上には高低差を持ち、様々な位置を持つ蝋燭の光が灯され、やがて各々の台の上に置かれる、示唆的なシーンで開幕。

    ネタバレBOX

     栗鼠、兎、熊、狐、犬、猫役の6名の役者が登場。人間が滅んだ後、各々は、犬を除いてせいせいしている。まあ、人間というものは地球上の全生物の中にある癌細胞だから当然だろう。
     犬ばかりは、それでも人間を懐かしみ、庇いだてするが、猫は、人間の残した缶詰を利用しようとしている。然し、缶を開ける手段が無い。それで、栗鼠と交渉して開けて貰ったりしている。
     人間が滅んで間も無いので動物たちも所在なさげに日を送っているということだ。
     
     所在なさにも、好い加減飽きが来て、動物達は、敵から身を守るために要塞化した搭を建てようとする。計画を実現化する為に、会議を開き、話し合いを持つが、建設を具体化するに当たって、計画を引っ張る者が居ない。犬だけはリーダーを決めて、その者の下に、計画を推進しようと提案するが、他の動物達は、リーダーの下に行動するという習性を持たない為、この案は却下される。各々の平等を原則に、代わりに提案された案は、各々の習性に基ずくものであったが、衆目の一致をみないばかりか、意見の食い違いばかりを明らかにするのであった。そこで提案されたのが、違い自体を翻訳するというものであった。この案は承認され、誰が翻訳家になるか、という段で、また一モメ。結局、くじ引きで選ぶことになり、栗鼠がその役を負うことになってが、議論を続けるうちに、最早、敵が存在しないことが明らかになり、塔を建設するという文明的なプロジェクトそのものから、言語翻訳、差異性の容認など文化的なプロジェクトへの変貌を遂げる。

     劇場の裏方スタッフが登場して、舞台上の転換を宣言し、観客は、二幕までの舞台出演者対観客という演劇空間から、劇場へ芝居を観に来ている観客と場面転換をしている裏方という「現実」世界へ誘われる。
    動物達は、時空の転移を経験したような不思議な体験を舞台上で語るが、その後、舞台上から観客席を見る。其処には、人間が居るようだ、否、確かに本物の人間が居ることを発見。客電が灯され、客席が明るくなるとハッキリ人間が居ることを認識し、動物の観点からヒトに対して、根本的な問いと発することになる。
     その問いとは、歴史上の何かを蹴られるとしたら、観客の各々は、何時の、どんな出来事を、どのように変えたいか、というものであった。

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