演劇という道草、それが演劇欲
「アメリカ」「城」「変身」そして今回の「審判」と。
一貫して見えるのは、不条理の権化ともいうべきカフカの原作を、如何にして舞台という仮構の世界の中に築き上げてゆくか、その過程―道行きの豊潤さなのであり、
それが「寄り道が多い」「主人公が道草を食う」原作自体の大いなる魅力と絶妙に重なり合うことになって、
演劇という道草を食うことの楽しさを存分に味わわせてくれる作品になっている。
パンフに書かれているところの「舞台化の欲求」、…それは、舞台欲、演技欲、観劇欲、、、そんな言葉の生み出る基となる舞台に対する根源的な憧れをすごくよく表した言葉なのだと思った。
満足度★★★
カフカ
松本修のカフカ作品は映像で「アメリカ」を観た以降、「城」「変身」を観ている。共通して思うのは、ただカフカ作品を舞台化したいだけなのか、その先に何かを求めているのか、ということ。まぁ、ただ舞台化することが難しいのだろうけれど。「変身」よりいい俳優が揃っている分、観ていて帰りたくはならないのだが、3時間半はやはり長い。スタッフワークはかなり好き。