満足度★★
理念に技術が追い付かず
アマチュア(あるいはアマ・プロ混合?)のオペラ公演には珍しく、攻めた感じの演出でしたが、演奏や演技、スタッフワークがその意図を表現出来ていなくて、理念だけが空回りしている印象が残りました。
鳥をメインモチーフとして、通常の演出では出演しないダンサーが登場して鳥のような動きをしたり、鳥カゴを模したセットがあったり、羽毛を撒き散らしたり、あるいは原作では魔女が子供を釜戸でお菓子にする設定をお金にする設定していたり、最後のシーンを事前に別のシーンとして先取りして見せたりと、単純な子供向けの物語にせずに、現代社会との接点を持たせたり、シーンやモチーフに関連性を持たせて伏線を巡らせた趣向が盛り込まれていて、興味深かったです。
しかし、そのアイディアを実現化するにあたって、ヴィジュアル的にかなりチープな雰囲気になってしまっていて残念でした。
お菓子の家は舞台手前に降りてくるスクリーンにアニメーションとして表現され、空間の奥行き感を殺してしまっていたのがもったいなく思いました。照明が舞台全体を明るく照らし過ぎで、もっとメリハリが欲しかったです。床がホールのフローリングそのままだったのも貧相に見えました。黒リノリウムを敷けば空間が引き締まったと思います。
歌手は魅力的な声質や表現の人もいましたが、オーケストラの音量に負けてしまって聞こえないことが多かったです。演技も必然性が感じられない小芝居が多くて煩く感じられました。
オーケストラも演奏が粗く、ファンタスティックな雰囲気があまり出ていませんでした。