虚人の世界 公演情報 虚人の世界」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
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  • 満足度★★★

    演劇的ではあるが…
    観客としてここに描かれている世界に浸りこむには相当な想像力と観劇中、そのイメージを保持し続ける持続力が必要だと感じた。結構シンドイ作品だ。

    ネタバレBOX

    板や擦りガラスに、各シーンのキーワードになる言葉や物体の形状を描いて見せるという手法はなかなか良かった。視覚に訴えることによって、観客のイメージを喚起する役割を果たしていた。(徐々に垂れてきて消えていくというのも趣があっていい感じ。)

    また、4人の男優が夫を、3人の女優が妻を、入れ代わり立ち代わり演じたのもテンポがあって面白いし、この作品にはピッタリだった。一人で演じ続けるとなるととてつもなく重たい作品になっていたと思う。(そうでなくても重いのに)

    こんな実験的で面白い手法とは裏腹に、物語の方は進むにつれて重く暗い「異形の世界」にどんどん入り込んでいく。正直、私は役者の口から発せられる、異様でグロテスクな「異形たち」の姿形を明確にイメージできずに終わってしまった。そのため物語に入り込んで、その世界を(ある意味)楽しむことができずただ茫然と眺めていることしかできなかった。当日パンフに作者の川津氏が“孤独とホラーの関係”について触れているが、そういった視点でこの主人公の男を観ていたらまた違った感想を持ったのかもしれない。
  • 満足度★★★★

    楽しめました
    ユニークなサイコホラーなかなかに楽しめました。一人の役を複数で演じるような演出で、ラジオドラマのような感じもして、いろいろと頭の中で想像することができましたね。ちょっとグロかったですが。しかし役者さんたち本当に芸達者。

  • 満足度★★★★

    クチビル
    芝居の出来が良いとか悪いとかいうのではなく、緊張感がはんぱでなく、この劇場の俳優との距離の近さは、正直言って観客としてしんどかった。でも俳優さんたちは皆演技の達人でそれを間近で見られたのは幸せでもあった。(矛盾してるなぁ。)観客によって見るポイントが違うかもしれない。私は「クチビル」が気にある存在。いったい何を吸って太ったんだ?

    ネタバレBOX

    ラスト近くで妻が夫の目に自分が映っていないと言った場面で終わりにしてもよかったような気がする。わざわざ外出して会社に行く理由は、自分の存在を確認するため?他人の存在を抹殺して生きるのは言ってみれば都会生活の知恵みたいなもので、程度の差はあれ誰でもやってるんじゃない?最後のジャンプみたいなのも不要。
  • 満足度★★★★

    役者が凄すぎ
    役の入れ替わりや、セリフのテンポ、素晴らしい。
    内容は変わった雰囲気で少し戸惑いました。

  • 満足度★★★

    巻き込まれなかった
    筆に水をつけただけで黒く書けるけど、そのうち乾いて消える紙。
    あれ、便利なですよね。ぼくも習字に使ってます。集中したいときなんかにね。
    でもその紙を舞台上で使うっていう発想はなかったです。
    だらか観たときは、おお!って。

    聞いただけじゃわかりにくい言葉を書いて示してくれて。親切~♪

    それから天井から吊るす仕掛けが面白かったです。
    でもブランコみたいにして、それに二人並んで座ったとき、おいおい、そんなに加重して大丈夫?と心配になったり。

    物語のほうは実験的でした。観客を巻き込むのではなくて、観客と対決する芝居でした。小説を読んでいるような芝居というか。朗読?いやいや。朗読じゃないけど。
    見終わって疲れた。

    ネタバレBOX

    ず~っと観客に対しての説明?が続くんですね。
    誰かが台詞を言っても、そのあと「と言いました」って続く。
    ずっとその調子で続く、説明が。

    だから誰にも感情移入できない。主人公の男に対しても。

    でも唯一そうではない箇所が。妻がドライバーを示して、これで眼をつぶしなさいよっていう場面。全体のなかでもクライマックスと言ってもいい場面。

    なんかいやな場面でした。ドライバーで眼をつぶすなんてねえ。ぼくがチキンハートっていうのもあるかもしれませんが。
    それに急に眼をつぶせと言い始めた妻にも違和感ものすごく感じるし、それを言われたとおりに実行しようとする男にも、違和感あるし、気持ち悪いし。いたたまれない気分に。

    それにマイナスのドライバーと虚数を無理やり関連させようとしていたのも、どうも。感心しませんでした。

    二度は観たくない芝居でした。
  • 満足度★★★★

    好き嫌いが分かれると思いますが。
     この類の作品は作者自身があまりにのめりこみ過ぎて必要以上に観念的になったり話が拡散したりして複雑で難解なものになってしまいがちですが、人の世界と"虚"人の世界の対比を軸とした丁寧な物語展開のおかげで最初思っていたよりは話について行くこと自体は難しくなかったようです。
     ただその分、目には見えない"虚"人の世界を限られた舞台の上でいかにリアルに感じ取れるようなものにみせていくかという点で、演出陣、俳優陣にかかる負担は大変で相当なものがあったでしょうが、今回拝見して皆さんの並々ならぬ意気込みが伝わってくる作品になっていたと思います。

  • 満足度★★★★

    実力者揃いの役者さん達
    7人の役者さんたちはいずれも演技実力者揃い。演出も構成も面白かった。
    小学4年生だと言う男の子がお母さんと夢中で観ていました。面白かったと言う感想にびっくり。頼もしい存在です。

  • 満足度★★★★★

    その嘘 ホント?
     異形の者たちって、みんな評するけどホントウ?

    ネタバレBOX

     通常の世界に至る為に、虚数空間やウロボロス、メビウスの輪を潜り抜けなければならぬほど、我らの住む現世は狂っている、という作品ととる方が面白そうである。
     仮にこう捉えるならば、この世界の捩れを透かして、その本質を見る為には、異界に自ら身を浸さねばならぬということだろう。異質性を自家薬籠中のものとするか、皆が当たり前に持っている物を欠く事によって、獲得されるものをベースとした時、初めて人は外連やバイアス無しに世界の実相に迫ることができるのではないか? ということでもある。因みに世界がこれ程迄に狂ってしまった原因は、力によって道理が押さえ込まれ、道理の悉くが、圧殺され、封殺されてしまったからである。代わりに蔓延したのが、嘘と偽物である。その嘘は、限りなく本当に近い嘘、肝心な「所だけが、力ある者達に都合の良いように改変された嘘であるから、それを射抜くことは、相当の困難を伴う。
     我々の人生にした所で、各人の生きる目的は、自己自身を最大限実現することであると定義するなら、そして、生きるとは、それを最も効率的に実現する為に戦うことだと規定するのであれば、それ以外の行為は、己の内で余計な事、余計な部分であると言わねばなるまい。そんなこと、部分の為に己の時間と資力、労力を用いるなら、謂わば生きながら(・・・・・)の(・)死(・)を生きていると言わねばなるまい。
     無論、それが、戦略・戦術の一環として規定されている場合、それなりの合理性は持つであろうが。だが、それが、実行されないまま、その生を終えるのであれば、その志を継ぐ者が誰一人居ないのであれば、その人生に意味は成立するのか? という問いが可能である。
     然し、この作品が、真に目指しているものが、それだと言えるだろうか? 言えるだろう。主人公自身が「虚人とは私だ」と時に、会社などの社会組織として機能していたはずの擬制が、内破して崩れ、街は正常に復し、彼らは、其処に戻って行こうとしているのだから。
    蛇足ながら、虚人たちを内破する為の悪口に「蛆」という表現が無かったのが面白い。言う迄もなく、ベルゼゼブは、サタンの副官、蝿の王であるが、その幼生が、死者に湧く蛆であり、生きながら死んでいる存在が虚人であるなら、この蔑称こそ相応しかろうに。

  • 満足度★★★

    疲れた
    会話劇ではなく役者が状況や目には見えない虚人を2時間ずっと説明していき転換とかもないので疲れる。場面場面で面白くぞくぞくするところもあったが全体を通すと演出に力を入れすぎててバランスが悪いなと感じた。

  • 満足度★★★★★

    演劇でこんなホラーが可能なのか
    スプラッタムービーかサイコホラーのようなホラー演劇だった。
    ちょっと、すごいものを見た気がするので、いろんな人に観て欲しいと思った。

    自分の前に書かれている3つの感想、とてもよくわかる。

    安部公房か、、、なるほど。

    ネタバレBOX

    ネタバレを含む感想
    http://sakuteki.exblog.jp/19314510/

    明るい話ではないが、ここまですごいとお薦め
  • 満足度★★★★

    文学的、、、
    何重の意味でも、評価が難しい。

    安部公房に似た感触。作家の理性によって統御された、寓意に満ちた、狂気の世界。

    言語で構築されている舞台を2時間近く観るのはキツかった。
    それでも、役者さん達は実力派、演技が素晴らしかった。

    ネタバレBOX

    言語・理性で構築された狂気の世界。
    おそらく読み物として読めば、より面白いのだろうが、舞台で言葉ありきのものを2時間近く観るのは正直辛い。

    非現実的な物語は、寓意に満ちていて、その寓意も単純なものではなく、ある意味が途中で反転したりもする。
    そのため多様な解釈を生む部分もあるが、暗に意味しているものは概ね規定されている。

    主人公は、事故をきっかけに、「虚人」が見えるようになってしまう。
    その虚人の正体は最初わからないのだが、物語が進むにつれて、
    陰口や悪口などのような、世の中に存在する悪意のようなものの形象化した姿、またはそれに染まった人のことだとわかる。
    反対に、主人公は、虚人が見えるようになるにつれて、「人」の姿が見えなくなっていく。

    途中、主人公は、罵りの言葉を吐くことで、その虚人を<内破>させる(消す)ことができると気付くが、その虚人を内破させる言葉を、姿の見えなくなった妻に対して無意識に吐いてしまう。
    このシーンにはゾッとした。人間は無意識に、そのような暴力を行使してしまうと思ったからだ。

    虚人を、つまり人間の悪意を、よく見えるようになってしまった主人公は、それを遠ざけ清らかな精神になったかと言えば、そうではなく、むしろ自分こそ、その虚人そのものだと気付いていく。
    他人の悪意に敏感になるということは、自分の中にある悪意にも敏感になるということか。
    人が見えなくなったのは、人を人として見なくなったということか。
    人でなくなったということか。

    更に、ラストシーンでは、
    「今度こそ帰ろう あの悪意に満ちた なつかしい世界へ」と言いながら、ビルの屋上から飛び降りる(ように見える)。
    舞台上では、それまで「虚人の世界」と出ていた文字が、「人の世界」へと変わっている。
    「悪意に満ちたなつかしい世界」こそ、人の世界なのだ。
    だが、そこに帰るとは?
    主人公は死を選んだのではないか。
    死んで、人間の悪意を見なくてもいい安寧を手に入れたいということか。
    ということは、その死は、生命の死ではなく、ある精神の死を意味するということか。
    精神を殺し、何かを見ないようにすることで、人の世を渡っていけるようになる、元の自分に戻るということか、、、

    解釈は多様に存在するのだろう。
  • 満足度★★★★

    ちょっと疲れました。
    さすがに今回の1時間50分は疲れました。
    いや、役者さんたちも相当疲れたと思います。
    土曜日は2公演ですか集中力持続たいへんですね!
    さて、観る側は台詞から想像することが多く、聞き逃さずにイメージするのは骨が折れる。
    さらに「虚人」の醜さ、汚さ、臭さの言葉による表現などまあそこまで並べるかぐらいの言葉ぜめには参りました。
    途中でどっかで息つかせてくれないと身体もちません。

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