満足度★★★★
柿喰う客「ながぐつをはいたねこ」観ました
書き喰う客・こどもと観る演劇プロジェクト。
名古屋近辺ではすでに何度か上演されてますが、私は今回が初。
最低限の装置が置かれた、素に近い舞台(後ろに置いてある設営道具とか丸出し)。クラブーっぽい照明・音楽の中を、こちら目線でゆったりと妖しく踊るメイド姿のネコ耳女…もう、なんかすでに予想と違う(笑) こどもぉ。。。
場内整理・前説をしていた人が、開始とともに舞台に飛び乗り役の世界へ。これ、ちょっとこども的には燃えるシチュエーション。
かわいく凛々しいねこの、しなやかで力強い身体。
形態模写とかではなく、他の人間たちとは明らかに違う身体(終演後に中屋敷さんと話したら、ねこだけ重心が低いそうな)。
物語は皆が知っている通りに、舞台と客席、役と役者の距離感を操作する演出。
演出家による、統一感ある独自の解釈が分かりやすく伝わる。
りっぱな長靴、贈り物、肩書き、服、城、そして名前…虚飾に振り回される人間の馬鹿馬鹿しさ。
そして、それらを駆使して主人を助けながら、最後にもっと大事なものを手に入れて去っていくねこ。
大胆かつ繊細な照明・音響が、舞台のみならず劇場全体を世界にする。
役者それぞれのキャラを生かした配役、役作り。
歌もダンスも濃密な45分。密度が濃い舞台でした。
こどもたちにとっては、学校観劇では得られない種類の観劇体験。
客席がこどもだけではない、おとなばかりではない、というのが重要。
※この後に観た、小池博史ブリッジプロジェクト「注文の多い料理店」も一応子供向けだけど、こちらは、あえてわかりにくい要素を含めていました。
こどもに家まで持ち帰ってもらう、何年後かに初めて「あ、わかった!」と思ってもらえれば、という作りでした。
同じ子供相手でも、様々なアプローチがある…