満足度★★★★
夜の部 幸四郎の悪役
悪役といえば、今の歌舞伎界は仁左衛門ってすぐ浮かぶが、
今回の”不知火検校”では、幸四郎が悪役ぶりを演じる。盲目なのに、子供のの頃から盗みはする、お金大好きー、人殺しを何とも思わないとんでもない奴が
そうだ。ただ、捕まる時があっけない。仲間のたれこみで簡単に御用!
御用になった後の花道での啖呵が見事!最後で上手く締めました。
”馬盗人”は馬演じる2人の息の合った足の動きや仕草がとても良かった。
満足度★★★
夜の部鑑賞
暗さを感じさせる世話物と朗らかな舞踊の2本立てで、両作品とも充実した演技を楽しめました。
『不知火検校』
按磨師の男が悪行を繰り返す物語で、悪者なのに惹き付けられる魅力がありました。
「えー」や「あのー」が口癖の気の弱そうな男が悪に染まって行くに従って堂々とした口調に変化する様子を松本幸四郎さんが巧みに演じ、遂には捕えられた姿を見に来た人々に吐く凄味の効いた台詞と大胆不敵な大笑いが格好良かったです。悪ぶっていても、ところどころに愛嬌が感じられるのも良かったです。
歌舞伎では珍しい2階建ての住宅のセットをセリで上下させたり、回転している回り舞台の上に町人達を歩かせたり、群衆を横一列ではなく、対角線を意識しつつランダムに配置するといった空間演出にモダンな感覚があり、印象的でした。
『馬盗人』
馬を買って帰る途中の男が騙されて馬を奪われる物語を、2人組で演じられる馬と一緒に踊る舞踊劇で、台詞も踊りもひたすら馬鹿馬鹿しくて楽しかったです。
セリから登場した馬が、女形の様にしなを作ったり、見得を切ったり、花道で飛び六法を踏んだりと、歌舞伎特有の表現を演じる姿がシュールでした。
3人の役者の踊りもコミカルでしたが、少々羽目を外し過ぎに感じました(元々その様な振付なのかもしれませんが)。