満足度★★★★
サーカス+オペラのメロドラマ
大規模な屋外パフォーマンスを行うフランスのカンパニーの初来日公演で、道路を封鎖して人で溢れ返った祝祭的な雰囲気で次第に日が沈んで行く中、不倫モノのメロドラマが大掛かりに演じられるというミスマッチ感が楽しかったです。
不細工な見掛けの男が白いコートを着た女に何度もアプローチして遂に結ばれ、愛の偉大さを語る(このシーンは日本語で話していました)ものの、他の女に誘惑され一緒に寝ている所を目撃されて修羅場になり、2番目の女は逃げ、男は反省の念から自害し、それを見て1番目の女も自害する、という物語でした。
サーカスの手法を用いながらオペラを上演するような感じの作品で、大きな仕掛けもほとんどが人力によって動かされていたのが印象的でした。2人で操作する巨大な赤いキリンの人形9体が道路を歩き回り、3人の役者も背の高い台に乗ったまま演じたり歌ったりしていて、迫力がありました。
観客がキリンや台車の近くまで寄れる様にしていて、場所を移動する際にホイッスルや拡声器の声がけたたましく鳴らされるのが高揚感を高めていました。
服を脱いだり、下半身をまさぐったりと、公道上で行うパフォーマンスにしては性描写が露骨で、フランスのお国柄を感じました。
美術だけでなく、誘導員や装置の操作をする人達が着ていた警察の制服風の衣装も赤で統一されていて洒落ていました。キリンのシルエットが、ケヤキ通りの奥に見える東京タワーと相似していて美しかったです。