満足度★★★★
怒濤のクライマックス
前半は静かに各人物やら背景となるものやらをジックリ描き、あるシーンから急にあれこれが動き出し、怒濤のクライマックスへなだれこむというのは、かすかな地鳴りが続いていたのがやがて地響きとなり大噴火につながるが如し。
また「忌み嫌われているが最終的には人を救う」という彼岸花の比喩が巧いし、力の弱い者たちが団結して何かを守ろうとする姿に前回公演『軍鶏307』の一場面が重なったりもしてホロリ。
さらにラストの大仕掛けも知っていたので、序盤から出てくる「台風小僧」関連の台詞に「あ、ここでもう暗示しているんだ」と気付いたりもする。
満足度★★★
自分の好みとは違ったが・・・
前々から評判が高い「桟敷童子」だが、前回公演は中止になるし、
その前の公演は自分の日程と合わず、「どうも縁がないなぁ」と
思っていた。今回も、チケットは買ったものの前日になって、
急な予定で行けなくなった。ダメもとで劇団に電話して
「日程変更出来ませんか?」と頼んだら、
なんとも快く変更をしてもらえ、
やっと初観劇。
言ってみる、頼んでみるものですねぇ。
全席自由で、当日券もある公演だったから可能だったのかもしれません。
でも都合が悪くなったら、買った席より悪い席になってでも、
日程変更・時間変更をしてもらえれば(常識の範疇の日時でね)
オークションに出すことなく、ネット売買や金券屋に出すことなく
活用できるのに。これは理想かな。
さてさて作品ですが、正直、自分の好みではない。
この手の話は苦手である。見た目「汚い」作品は、どうも抵抗がある。
泉鏡花のように、美しく浄化してくれればいいのに。
暴力シーン、淫猥シーン、陰気なシーンが続き
個性的な役柄が多いため、熱演っぽい芝居が目に迫る。
これが何とも暑苦しく埃っぽく、見ていて息苦しい。
しかも「いかにも」って感じの芝居を、方程式通りかのように
演じている。
苦手とはいえ、この手の題材は、「王道」ではあるので
複数回見ている。機会は多い。それゆえに、
どこかで見たことのあるような、どこかで聞いたことがあるような
狙っているような、媚びているような、そんな印象が残る。
新鮮な面が感じ取れない。杓子定規で続いていき、決まり事から外れない。
狂乱演技で自己陶酔している女優陣は、語るべきもないが
「エンジェルス~」でも活躍だった池内重大氏は、
大人しい見た目を上手く利用し、内なる野望を強く心に持つ演じわけは
安定感があり、見ごたえがある。
心境の変化が。良く判らないのは
脚本と演出の問題でしょう。
と苦痛の2時間を過ごしていましたが、ラスト5分はびっくり。
このびっくりさに星3つ。
おしゃれな街、吉祥寺で、モダンな外観と内装の吉祥寺シアターに
本当に不釣合いな、雑多な感じの風景を広げている。
これ、湾岸の倉庫とか、工場街の架設劇場なら、
雰囲気も相乗効果を出して、ダイナミックになるんだろうな。
劇場中を一つの世界にしようとした舞台セットが、かえって
全体を狭苦しくしてしまい、どうにも圧迫感がある。
これが狙いかもしれないが、狭苦しくて自分好みではない。
お見送りしてくれた役者さんも、衣装を脱いだら
この辺りを歩いているイマドキの少年少女なんだろうなぁと思うと
余韻も何も綺麗さっぱり流されていった。
次の上演は、便所の香りが充満していた中野光座。
是非、清潔にして上演してほしい。
もし似たような作品の上演であるならば
吉祥寺シアターより、雰囲気は合うと思う。
満足度★★★★★
たまげた。
舞台美術といい装置といい、凝りに凝っている。モチーフの彼岸花が十二分に生きる劇作、芯のある真っ向勝負な作りに呆然。超一流のエンタメの魅了度を持つ。
満足度★★★★★
レトロで熱い芝居くささ満点
アナクロな物語に暑苦しい演技、しかし作り込まれた美術と熱気にあふれる役者たちの演技は確実に濃厚な叙情味に満ちた演劇的ファンタジーを堪能させてくれる。
芝居の面白さを存分に味合わせてくれる素晴らしい舞台だった。
満足度★★★★★
ストレートど真ん中
物語も人物も、すべてが変化球じゃなく直球勝負、しかも気持ちがよいくらいのど真ん中♪
目隠しで座席まで連れて来られたら吉祥寺シアターってわからないですね。劇場全体が桟敷童子色一色で開演前からワクワクしっぱなし。
満足度★★★★
代表作でしょう。
初演時の衝撃が脳内で大きくなっているものの、吉祥寺の空間であの密度はさすが。個人的には「博多」の名がつくこの作品で、福岡公演に行ってほしかったなぁと思ったりも。
満足度★★★★★
台風小僧に連れ去られろ!
“叩ける演出家”という記事を読んだこともあり、美術には大いに期待していた。
何はともあれ、吉祥寺シアターが大変なことになっている。この劇場をここまで団体の色に染め抜けていると感じたのは初めて。それはもはや貪欲とすら言っていい。特にラスト……そこまでやるか! 吉祥寺に一度でも行ったことある人には特にお勧めしたい。
話も役者も、実に熱い。2時間後には博多弁がうつってしまうこと請け合いである。