パパのデモクラシー 公演情報 パパのデモクラシー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 満足度★★★★★

    東京ヴォードヴィルショーの新たな一面を見たようだ
    東京ヴォードヴィルショーにとって、初永井愛(作)&初鈴木裕美(演)。

    ネタバレBOX

    東京ヴォードヴィルショーにとって、初永井愛&初鈴木裕美。

    1946年、東京に住む神主一家とそれを取り巻く人々を描いた作品。
    軍国主義から民主主義への転換期に、翻弄されながらも逞しく生きる人々。
    そう書くとありきたりかもしれないが、いろいろな要素が重層的に重なり、善悪という単純な二極ではない日本人的な姿がそこにある。

    説明しすぎない永井愛さんの戯曲がいいのだと思う。

    観客のことを思って、戦後間もない頃のあれこれについては、体験者やそれについて知識を持ってないとわかるはずがないから、どこまで説明したらいいのかが微妙だし、キリがない。

    例えば、東宝争議のことや2.1ゼネストのことは、物語では大切なことなのだが、それを延々と説明されても、全体のリズムが壊れてしまうのだ。だからだからこれぐらいが丁度いい。

    驚いたのは、役者さんたちの演技。
    東京ヴォードヴィルショーは、それなりに見続けているのだが、例えば、こんな石井愃一さんや、たかはし等さん、まいど豊さんは見たことないんじゃないか、と思ったこと。
    佐藤B作さんも違う。
    一見同じなようで、違うのだ。

    いつも脇を固める石井愃一さんたちは、ガッと出て、とにかく強い印象を、笑いとともに残す(残そうとする)のだが、今回はそれがない。自分が前に出て爪痕を残そうというアクの強さが引っ込んだ印象なのだ。

    「この人たちって、こんなにいい役者さんたちだったんだ」と改めて思うほど、その人の良さが引き出されていた。

    B作さんも同じで、「間」が違う。いつもの独特の間ではない。
    それによって、現れてくる情感も多いに違うのだ。

    ここまで長いこと演じてきて、イメージも出来上がっている役者さんたちの、新たな良さを十二分に引き出していたと言っていいのではないだろうか。

    「演出家の力って大きいんだな」と改めて思った。

    ただし、B作さんの設定は、20代ぐらいのはずなので、少々苦しいかな(笑)。

    三谷幸喜さん作の笑い一辺倒な作品もいいのだが、今回のような、笑いと涙な感じも好きだ。

    ・・・意外かもしれないが、東京ヴォードヴィルショーって、今までしんみりとさせるものはあったが、泣けるような話はあまりないんだな。
  • 満足度★★

    期待が高過ぎたのかも
    この作品、永井さん作、鈴木さん演出ということで、大好きなお二人の女性演劇人のタッグに、胸躍らせて観に行ったのですが、少々と言うか、正直かなり期待外れでした。

    たぶん、初演はもう20年近く昔だったんでしょう。

    その当時なら、斬新な切り口の芝居だったのかもしれません。

    ですが、今の日本の、憂える現状満載の時期に観るには、少々、まどろっこしさを感じてしまう内容でした。

    役者さんも、役のヒントが少なくて、役作りが難しかったのではと感じます。

    ただ緑川を演じたあめくみちこさんは、いつにも増して可愛くて、素敵でした。

    ネタバレBOX

    とにかく、舞台運びがのんべんだらりとし過ぎて、高揚感を感じません。

    客席は、開演前に流れた過去の流行歌を全て歌える私でさえ、若い方ではと思える、高齢者だらけ。この観客層なら、東宝争議に加わったとされる映画俳優の名前を列挙されても、懐かしさを感じ、彼らの実態を知っている世代だから、すんなり、芝居の世界に入って行けるでしょうが、若い観客には、耳馴染みないのではと余計な心配をしてしまったりしました。

    全般に、こんな調子で、戦後の事情に疎い観客には、ピンと来ないことが多すぎるように感じました。その時代状況がわからないと、ただただ気持ちが置いて行かれるばかりです。
    この芝居を観て、今更、井上ひさしさんの偉大さがわかりました。

    人物個々の描き方には、あまり難はないのですが、舞台に描かれていない、それぞれの関係性が、どうもあやふやで、作者が何を描きたかったのかが不明でした。

    「こんにちは母さん」のような秀作を書いた永井さんも、昔は若かったのだなと感じました。

    特に、佐藤B作さんが演じた千代吉という人物が、どういう人間なのか、全く推測できませんでした。知恵遅れなのか、そうでなく、ただ性格的に幼いだけなのか?養子というけれど、どういう経緯で、あの家にもらわれたのか?父親との関係はそれまでどうだっったのか?
    そういう細部の説明が全くないし、かといって推理するだけのヒントもないので、最後の場面の千代吉の父親への台詞が、全く、心の琴線に触れず終いでした。

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