見事な異空間。
上演場所は公共施設。いわゆる多目的ホールが会場。しかし入った瞬間、既にそこは演目の世界が始まっていた。「あ、これは刺激的な演目だ」と直感。自分の勘が良かったのではありません。開演前にそれを受け取れるだけの空間演出が整っていた。
開演後、役者の役者たる姿をまざまざと目の当たりに。開始5分くらいで、いやこれはそこら辺の人には出来ないぞと脱帽。客席にいる人間と同じ構成物質であるはずの存在が、最強の台詞発話マシーンと化している。能や狂言を思わせる型の発話術。鍛錬の賜物。同時に、台詞を口にせず自らの身体を舞台美術の一部と化して動く役者の姿も眼福。
彼らが自分の住む街のすぐ近くで活動しているという事もまた、今後の演劇の在り方に希望を持てた点。都内でなくても演劇は出来るし、地方ならでは活動方法も必ずある。