満足度★★★
イギリスの伝統
イギリスの名門、ロイヤルバレエ団のトップクラスのメンバーによるガラ公演で、ソロとデュオのみで上演時間も2時間弱と、小規模でさっぱりとした雰囲気がありました。
いわゆるクラシック作品は『海賊』と『白鳥の湖』だけで、20世紀のイギリスを代表する振付家、アシュトンとマクミランの作品を中心にして、さらに若い世代の振付家の作品を配したプログラムで、ロイヤルバレエ団の歴史を感じさせるものでした。
新しい作品でもクラシックバレエの延長線上にあって、奇妙な動きや難解な雰囲気はなく、演劇性を重視して来たイギリスのバレエの伝統が息づいているように思いました。
リストのピアノ曲に乗せたデュオ、『リーベストゥラウム』(リアム・スカーレット振付)が高度なテクニックを用いつつもそれを誇示するのではなく、静かで優しい雰囲気があって魅力的でした。
崔由姫さんが踊った『ファサード』(フレデリック・アシュトン振付)や、ラウラ・モレーラさんが踊った『カリオペ・ラグ』(ケネス・マクミラン)のレトロで可愛らしい雰囲気も楽しかったです。
ラストのスティーヴン・マックレーさんの自作自演、『サムシング・ディファレント』はバレエダンサーが余興でタップダンスをやってみましたというようなものではなく、バレエとタップの技術が高いレベルで融合されていて圧巻の表現でした。
各作品毎のカーテンコールがあっさりとしていて、すぐに次の作品が始まり、テンポの良い進行が気持ち良かったです。