満足度★★★
谷桃子バレエ団「古典と創作」
「パキータ」はヤングバレエフェスティバルで観て以来です。やはり華やかでいいですね。今では全幕が上演されることはまずなくて、3幕のみ、ドラマ性よりもこれぞ古典、という形式の美しさを見せる作品になっています。これはこれで、踊るほうにとっては「見せる」ことが難しいのではないかといつも思います。
エトワールは永橋あゆみさんと今井智也さんでした。
バリエーションでは第2の佐々木和葉さんのたおやかな踊り、第3の朝枝めぐみさんの華やかさが、やはり好きですね。
パ・ド・トロワを踊られていた中武啓吾さんが、今までの印象よりもずっと軽やかに思えました。
形式美、としては、コールドがもっとそろうとさらに良かったと思います。コールドとコルフェの差が、結構はっきりしていたように思えたので。
谷桃子バレエ団の舞台は、ストーリー性のあるものでのお芝居が好きなのですが、こういう作品の品のよさもいいです。
「Shout on the line」
陽は昇り、陽は沈む。
さまざまな人達のさまざまな人生。
ふとした出会いは運命の赤い糸の仕業か。
今日も病んだ人たちの叫びが聞こえる。
観終わってから改めて作品メモを読んで、ああやっぱり「病んでいる」のだなあ、と。
この作品に限らず、コンテンポラリー作品には「病んでいる」人の表現が多い。(プロとして)表現をする、というのはそれをしなければ壊れてしまうようなバランスの上に成り立っているのかもしれない。
それを自分の現実にひきつけて考えられるかというと。
この作品はそれができた。
今自分はそんなに切迫したことはないけれど、たとえば、もっと若いころに。
自分が好きになった人が運命だと思いたい、思い込みたくて、じたじたしていたときのこと。
今では「運命」というのはそんなに大仰なものではなくて、今の自分のありようこそが運命なんだと思うこと。
10月31日は高部尚子さんと斎藤拓さんでした。
高部さんのコンテンポラリーでの切れのよさとどこかかわいらしい感じはいつもどおりで、でも観るたびに若くなっている気がします。不思議。
斎藤さんはクラシックで踊っているときよりも数段、ワイルドな感じで、こちらも魅力的でした。
11月1日の伊藤範子さん、梶原将仁さんの組だとまた違う印象なんだろうなあ。
音楽はOwen Pallett他となっていたのですが、Final Fantasyというユニットらしいです。