満足度★★
作者の理想の夫婦像なのだろうか
「いずことも知れぬ空間に浮かんだ奇妙な和室」に住む夫婦の話。
狭い空間に建て込んだこの和室のセットが売りだったらしいが、あまりHPで宣伝するのでかなり期待して行ったら、「何だ、これかい」というショボイセットだった。
天井から何本かぼろぎれがぶら下がっている。これを古ネクタイと評している
人がいたが、私には人形作りなどに使う安い和風のはぎれを買ってきたんだろうなという連想しか浮かばなかった。
列車の中で怪しい連中に妻の遺骨らしい風呂敷包みを奪われた男があばら家に追ってくるとガラリと和室が現れ、この和室に住むひたすら売れない物書きの夫(男)に尽くす献身的な妻の物語が始まる。住み込みの家政婦との面白くないドタバタギャグや珍化な3人組が出てきて変な歌を歌うのは、もう勘弁と思った。
妻に言い寄る華族の坊ちゃんやいかがわしい不動産屋などが出てきて、
この庭が世界の裂け目に通じているらしいというような展開になっていく。
いきなりギリシャ悲劇の話が出てきたり、このギリシャ悲劇を童話仕立てで説明したりするのだが、よく理解できず、よけいなことに感じた。
結局、隕石とは何のために出てきたのかよくわからなかった。
しいていえば、広島の原爆を現しているらしく、男の妻は夫よりも先に死ぬが、「あなたはこれから先もっと大変なことを経験することになるけど、
頑張って生き抜いて頂戴」と暗に戦争や原爆のことを暗示した遺言を残していったらしい。
結局、何を描きたかったのか。喜劇だとかラブストーリーだとかブログに書いていたので、夫婦愛が語りたかったのだろうか。
随所に唐十郎の芝居風のやりとりが出てくるが、アングラ好きな人が観れば
楽しめるのかもしれない。
1カ月貫通公演と銘打っても、きょうまで1人の書きこみもなかったほど、
まったく話題にならない公演だったようだ。