満足度★★
豪華メンバーが活かされず
首藤康之さんと中村恩恵さんを中心に、写真家の操上和美さん、ミュージシャンの椎名林檎さんといったアーティストのコラボレーションによる公演でしたが、映像だけが流れる時間が多く、1時間弱しかない上演時間の内、実際に舞台上で踊る時間が半分程度しかなく、かなり不満を感じました。
『Between Today and Tomorrow』
椎名林檎さん書き下ろしのピアノと弦楽四重奏による音楽に乗せて踊る作品で、情熱的なダンスとバリエーションに富む照明が印象的でした。短すぎて、もう少し展開が欲しかったです。
『The Afternoon of a Faun ~ニジンスキーへのオマージュ~』
操上和美さんの映像作品で、『牧神の午後』を踊るニジンスキーの写真を首藤さんが真似する様子が描かれていました。顔のパーツの接写等、映像ならではの表現が使われていて、画としてもエロティックで美しかったのですが、首藤さんが出演している舞台なのに本人不在の状態で首藤さんのPVを見せられているようで、違和感がありました。
音楽に耳障りなデジタルノイズが乗っていたり、曲の最後まで行かずに終わったりと、音の扱いに不満を感じました。
『WHITE ROOM』
イリ・キリアンさんが中村さんの為に作った名作『ブラックバード』をベースにしたデュオに、さらに映像パートを加えたヴァージョンでの上演で、映像内のダンサーと舞台上のダンサーが影響を及ぼし合っているかのようなイリュージョンが興味深かったです。今回のヴァージョンではチェーホフの『かもめ』に着想を得たとのことで、冒頭と最後にニーナとトレープレフを思わせるシーンがあり、映像もロシア映画的な雰囲気が漂っていました。中村さんのソロパートが、やはり美しくて圧巻でした。
最後は首藤さんが立ち尽くす中をスタッフロールの映像が流れましたが、その必要性が感じられませんでした。
終演するとカーテンコールも無い内にすぐに客席が明るくなり、興醒めな終わり方で残念した(その後カーテンコールはありましたが)。
遅刻する人が多くて開演が遅れ、開演してからも何人か入って来ていましたが、上演時間が1時間弱しかないのであれば、19時半か20時開演にするべきだと思いました。