期待度♪♪♪♪
少しだけ優しくしてあげる
薬師丸ひろ子が舞台復帰! と言ってもこれを大ニュースと捉える人はもう40代後半だろう。80年代、彼女の人気がいかに絶大だったか、若い人にはピンと来ないだろうが、「名前で客が呼べる最後の女優」だったんだよ。デビュー作の『野性の証明』以来、『翔んだカップル』『ねらわれた学園』『セーラー服と機関銃』『探偵物語』『メインテーマ』『里見八犬伝』『Wの悲劇』『紳士同盟』『野蛮人のように』など、わずか六、七年でこれだけの映画に主演していずれもヒットさせた女優なんて、彼女の後は誰一人出ていない。宮沢りえも広末涼子も長澤まさみも薬師丸ひろ子は越えられていないのだ。
何がそんなに彼女を魅力的にしていたか、そんなことは一言で言えることではないが、時代が彼女に微笑んでいたことは事実だ。結婚、離婚後、一時期低迷していたが、脇でも輝く女優として復帰、『オペレッタ狸御殿』『うた魂』『めがね』『バブルへGO!』『三丁目の夕日』シリーズ、『今度は愛妻家』など、円熟した演技を披露しているのは皆さんご承知の通り。でも往年のファンはきっと思ったはずだ。彼女の「主演作品」が観たいと。
舞台でそれが叶う。場所がそぴあしんぐうって、あんな交通の便が悪いとこでやらんでも、とは思うが、福岡まで来ないよりはマシだ。あそこ、ロビーもまあまあ広いから、サイン会もやってくれないかなあ。
と、ミーハーな関心はそれとして、演劇としての「売り」はやはり木皿泉の初舞台戯曲ということになるだろう。私はテレビドラマは殆ど観ないが、『野ブタ。をプロデュース』はしっかり観た。原作のキャラクターを男性から女性に変える大胆な脚色には驚かされた。舞台も期待してよいと思う。