満足度★★★★
母を思い、自分を振り返り。
この『おやすみ、母さん』は、3度目の鑑賞。
過去の2度の母親役は白石加代子さん。娘役は、渡辺えりさんと中島朋子さん。
渋谷LeDECOでの『おやすみ、母さん』は、母親に斉藤まりえさん、娘役に日沼さくらさん。お二方とも30歳前後の女優さん。
日沼さんを一目見て「ジェシー(娘の名)にしては若いし、綺麗過ぎるな」と思ったのは事実。渡辺&中島ジェシーの印象が強すぎたからかな。
でも、芝居が進むにつれ、ジェシーの羞恥心、虚無感、絶望がビシビシと伝わってきた。彼女の自意識過剰っぷりにイラつきもしたけど。人間なんて、パッと見は多種多様だけど、似た者同士だと思うけどね、根っこのとこは。ず~っと理想と現実との乖離に悩んでるし。良いことばっかじゃないからね。
斉藤さんのセルマ(母の名)の母親っぷりが凄い。白石セルマの達観してるともいえる母親とは違う「等身大の母親」といったところかな。だからこそ、ラストシーンがグッと引き立つんだよなあ。哀しいシーンなんだけど、強烈な生命力を感じるんだ。
90分間、どっぷりとひたって(時に、自分の母親を思って胸が締め付けられそうになりながら)、「良い芝居を観たな」と思った・・・けど、もっと攻めて欲しかった気もする。
この『おやすみ、母さん』は、翻訳モノなんだけど・・・シェイクスピアの作品を見た時にも思うんだよね、「セリフの量が多すぎやしないか」って。
たしかに、母娘の会話だけの戯曲だし、それぞれのセリフに玉のような言葉が散りばめられてはいるんだけど、情報量が多すぎて咀嚼しきれないところがある・・・ボクが、歌舞伎や落語のような「間」を楽しむ芸能が好きだからなのかもしれないけど(じゃ、どこをカットすりゃいいんだい?と問われたら、間違いなくボクは沈黙しますけども 笑)。
あと、母娘役を入れ替えたバージョンも観てみたいなあ。コメディのテイストを強めたバージョンもおもしろそう。80歳と60歳の母娘なら?父息子の関係だったら、観る方の感じ方が変わってくるのかなあ?
って、ここまできたら『ガラスの仮面』の世界だな(笑)
でも、そんなことを思うくらい魅力的なユニットでした。