黄昏の湖~On Golden Pond~ 公演情報 黄昏の湖~On Golden Pond~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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    満足度★★★★★

    昨年に続いて京都公演はなく、神戸での公演のみ。もう京都府立府民ホール アルティの耐震工事は完了して復活しているので、来年は京都公演、復活を祈る。

    今回の作品は1978年2月にオフ・ブロードウェイ(Off Broadway)で舞台化されたアーネスト・トンプソン(Ernest Thompson)の作品。

    アーネスト・トンプソンは1949年、アメリカ合衆国、バーモント州ベローズフォールズ(Bellows Falls, Vermont)生れの作家、俳優、監督。幼少期をマサチューセッツ(Massachusetts)州、ニューハンプシャー(New Hampshire)州、メイン(Maine)州で過ごし、中学生の時にメリーランド(Maryland)州に移り、最終的には1971年にワシントンDC(Washington, D.C)のアメリカン大学(American University)を卒業。現在(2025年4月)はニューハンプシャー州で過ごしている。

    「黄昏の湖(On Golden Pond)」は彼の代表作。上述したように1978年にオフ・ブロードウェイで舞台化された後、1979年にブロードウェイ(Broadway)のニュー・アポロ劇場(New Apollo Theater)で上演され、翌シーズンにはセンチュリー・シアター(Century Theatre)で再演された。総上演回数は400回を越える。

    1981年にはキャサリン・ヘプバーン(Katharine Hepburn)とヘンリー・フォンダ(Henry Fonda)の主演で映画化もされた。トンプソンはその年のアカデミー賞(54th Academy Awards)、最優秀脚色賞(Best Adapted Screenplay)を受賞した他、ゴールデングローブ賞(Golden Globe Awards)と全米脚本家組合賞(Writers Guild Awards)の脚本賞も受賞している。なお、主演の2人はアカデミー賞の最優秀主演賞(Best Actor/Actress)を受賞している。

    日本語訳は小田島恒志と妻の則子。小田島恒志は英文学者、翻訳家で現在は早稲田大学文化構想学部教授。1962年生まれ、早大大学院博士課程単位取得満期退学、ロンドン大学大学院修士課程修了。小田島則子も英文学者で翻訳家で駒沢女子大学、目白女子短期大学講師。東京都出身で早稲田大学博士課程、ロンドン大学大学院修士課程修了。

    「黄昏の湖」はアメリカ東海岸の都市にある湖畔の別荘を舞台に、人生の黄昏を迎えた老夫婦とその娘、彼女の結婚相手の連れ子の心の交流を描いた作品。原題の「Golden Pond」は舞台となる場所の名前。

    今回の加藤健一事務所公演は120回目。新宿の紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAでの10日間の公演に続いてこの神戸公演が行われた。

    主人公の一人、夫のノーマン(Norman Thayer Jr.)を演じるのが劇団主宰の加藤健一。以前からの繰り返しになるが、カトケンこと加藤健一は1949年10月静岡県磐田市生まれ。1968年、袋井商業高校卒業後、半年間のサラリーマン生活を経て劇団俳優小劇場の養成所に入所。1970年に養成所を卒業後、つかこうへい事務所の作品に多数客演し、10年後の1980年に加藤健一事務所を創立。

    この間、2004年には読売演劇大賞優秀男優賞を受賞、2007年には紫綬褒章を受章、その他にも菊田一夫演劇賞など多くの賞を受けている。毎年3、4本の公演を行っているため、映画やテレビドラマへの出演は限られているが、2016年の吉永小百合と二宮和也の主演した山田洋次監督作品の「母と暮せば」では福原母子の家に出入りする上海のおじさんを演じ、毎日映画コンクール・男優助演賞を受賞している。

    もう一人の主役、妻のエセル(Ethel Thayer)を演じるのは一柳みる。1952年生れで和歌山県出身。1979年、玉川大学文学部芸術学科演劇専攻卒業後、劇団昴に入団。看板女優として、シェイクスピア劇を中心に活動している。テレビ出演は少ないが、天海祐希主演の「緊急取調室」や内藤剛志主演の「警視庁・捜査一課長」などにゲスト出演している。洋画吹き替えでヘレン・ミレン(Helen Mirren)やメリル・ストリープ(Meryl Streep)を多く担当している

    父との確執もあり、現在はカリフォルニアに暮らす娘のチェルシー(Chelsea Thayer Wayne)を演じるのは加藤健一事務所俳優教室出身で加藤健一事務所公演ではお馴染みの加藤忍。1973年10月生まれで、神奈川県出身。彼女も舞台中心で、テレビドラマや映画出演は少ない。

    もう一人の主役とも云える娘のチェルシーの恋人の連れ子ビリー・レイ(Billy Ray Jr.)、13歳を演じるのは澁谷凜音(りん)。2001年9月生れで、北海道出身。青年座研究所46期卒。24歳で頑張って13歳を演じた。

    その父、カリフォルニアで歯科医をしているビル・レイ(Dr. Bill Ray)を演じるのは尾崎右宗。テレビドラマにもけっこう出ており、沢村一樹主演の「DOCTORS~最強の名医~」や故三浦春馬主演の「BLOODY MONDAY」などにレギュラー出演している。1972年6月東京生まれで、青山高校卒業後、役者の道に進む。役者業のかたわら、大阪芸術大学芸術学部を通信で卒業している。

    娘のチェルシーが幼い頃からの友人である郵便配達夫チャーリー・マーティン(Charlie Martin)を演じるのは伊原農。1974年2月生れで、千葉県出身。加藤健一事務所14期卒業。地球儀、劇団ハイリンド所属。

    演出の西沢栄治は1971年、東京都生れ。2004年に日本演出家協会主催の若手演出家コンクール200」にて最優秀賞を受賞している。それから20年、もう若手ではないな。

    上演時間は前半が1時間10分で、15分休憩の後、後半540分の合計2時間15分。上述したように見てないけど、「スクリーン」などで情報は得てたので、映画の「黄昏」を思い出した。

    W主演になってるけど内容から考えると一柳さん、主役だね。名優キャサリン・ヘップバーンを彷彿とさせる名演でした。もちろんカトケンさんの加藤忍さんの親子の確執の描き方もさすが。いい話だなあと思わせてくれました。

    京都公演じゃないのでアフタートークはなし。最初に書いたように京都公演の会場になっているアルティの工事は終わってるで、来年は京都公演が復活すると信じたい。


    以上

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