満足度★★★
鮮烈な痛々しさ
性と暴力を通して現代社会の状況を描いた戯曲の3年越しの上演プロジェクトで、前回のショーケース公演の時よりストイックで辛口な演出になっていてました。
アクリルの波板の壁を通して自然光が入ってくる倉庫あるいは工場的な無骨な空間の床に横長の長方形に土が敷き詰められた上に全出演者が出ずっぱりで、出番の無いシーンではそのまま静止し続ける演出で、緊張感がありました。ダンスや出演者によって歌われる音楽も鋭さがあり、印象的でした。
半裸になったり、セックスの様子をダンスで描いたり、土の上に投げられたチョコレートを延々と食べ続けたり、手足を拘束されたりと負荷の掛った役者の演技から、殺伐とした痛々しい雰囲気が伝わって来ました。
前回の公演では物語がほとんど分からなかったので今回は戯曲を読んで予習したのですが、演出によって分かりにくくなっているのではなく、テクスト自体が断片的で謎めいた展開だということが分かったので、演じている内容が受け入れ易かったです。
戯曲を読んでいない人が観ると、どういう場面なのか把握しにくい演出だったと思います。
何度か出てくる恋人に対しての「baby」という呼び掛けをそのまま「ベイビー」と訳していましたが、その単語だけが浮いて聞こえました。といっても他に良い案が思い付かないのですが…。
線路のすぐ傍なので通過する電車の音で台詞が聞き取りにくくなることがあって残念でした。それは仕方ないとしても、台詞と合唱やBGMとのバランスも良くなかったと思いました。
満足度★★★★★
エクスタシー
薬・分裂・結合…浄化。土・水・火…宇宙。地から出てくるような声、天から降り注ぐような歌。静と動。あらゆる穴になにか埋め込みたい、そして排出される。…清められ。