<2025年1月公演>朗読キネマ『潮騒の祈り』 公演情報 <2025年1月公演>朗読キネマ『潮騒の祈り』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    母と娘の確執・回想・受容といったエレメントで構成された抒情的な作品。娘の観点で描いているが、その娘が母親になることで 新たに母の思いを知ることになるのではないか。母にも子供時代があり経験したにも関わらず、親=大人になると その立場 目線で考える。それは先人の定めのようなもので、一概に親のエゴと言えるだろうか。

    当日パンフの中で、主宰の高橋郁子さんが「再演を重ねる中で、『これは私の物語だ』とおっしゃるお客様と何人も出会い・・・作者の想いなどはとうの昔に超えて、『私』となる方のためにこの作品は在るのだと思う」と記している。長々と引用したが、この「私」は たぶん娘 綾子なのであろう。しかし母1人娘1人という状況の中、必死に子育てする母の気持が痛いほど伝わる。母が娘の心を殺すまで無関心・無神経だったか。逆に外国映画に「毒親(ドクチン)」という、娘への過剰な教育や躾といった問題を描いた作品がある。子育てに正解はないのだろう。

    寂れた海辺の街という設定が妙。妊娠した娘の精神的・肉体的な変化を自然のなかで情緒豊かに紡いでいく。羊水の中の胎児、それを月と潮汐に準え神秘的に、時に現実的に読む。だから配役(表)も娘 綾子、母 和江、そして海となっている。しかも娘と母の間に海が、それは2人を取り持つ新たな命(胎児)を連想させる。シンプルな舞台装置に揺れる波が映え擬声音が効果的に響く。

    先の当日パンフには「想像力で溶け合うことで視えてくる母と娘、海と命の物語」、男の自分には、親子の一番解り難い関係(母と娘)だけに手強い。母と息子、父と娘、父と息子は、自分が子として又は父として接したことがあるため何となく想像が出来る。公演では女性ならではの身体的な描写があるため、理屈では分かったつもりだが やはり観念的に捉えている と思う。男優による朗読、それでも母娘は違和感なく存在したが…。
    (上演時間1時間20分 休憩なし) 【上弦】 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、会場入り口の対角線上に腰高スツール3脚。その後方に縄簾のような幕。さらに幕奥に照明が1つ。このシンプルな舞台美術が実に効果的な役割を果たす。朗読劇だから、ト書きや波音などの情景は擬態語・擬音語で表現する。また後景の縄簾への流線形の照明が揺らめく波のように見え、さらに丸照明がシルエットになり朧月のように見える。物語は、8月下旬から12月下旬までの約4か月間の話。

    綾子は身籠った子を産み育てるため、実家に帰り嫌いな いや憎んでさえいる母に頼らざるを得ない状況。当初 母 和江は反対していたが自分も反対を押し切って産んだ経験があるから認める。母への蟠りは消えない…小学校4年生の時に初潮、それを機に苛められるようになる。登校したくない、しかし 母は綾子が弱いからと決めつける。子の心情に寄り添えず、自分=大人(母親)の立場で追い詰める。そんな母が嫌いだった。その母は、夫に先立たれ昼はパート、夜はスナックで働き1人で綾子を育ててきた。それだけに負けず嫌いの気性の激しい女のよう。母 娘の確執とその原因となった回想が淡々と語られる。

    綾子は 東京の予備校で働きだし、年上の男から交際を求められ妊娠した。男の身勝手、結婚もしない 認知もしないし養育費も支払わない。実家に帰るまでの逡巡、それでも産むためには母を頼らなければ、その葛藤が痛いほど伝わる。そして月齢が進むにつれ、自分の体の変化と同時に感情の変化、綾子はだんだんと受け入れていく。胎動によって胎児と語り、それによって母性を育んでいく。そして綾子の思いは母 和子の思いへ近づき、いつの間にか同化していく。

    体調の変化は 水が関係してくる。風呂場で異変を来し悲鳴を上げる。そして12月下旬、月に導かれるように夜中の海に入っていく。幻想的な情景 不思議な行為は、生 なのか 死 なのか いずれにしても神秘性を感じる。が、一度産むと決心し胎児と向きあった以上、母 和子が間に合ってホッとした。このドキドキしたシーンによって迷いや葛藤は吹っ切れたかのような和み。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    上弦チームを観劇しました。
    男性3人で女性を演じていましたが、違和感なく幻想的な雰囲気で、とても良かったです。
    3人の語りから情景が浮かんできて、どうなるのか?とハラハラしながら聴き入りました。
    良い舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    上弦チーム観劇。センシティブな母娘の会話劇、色々と考えさせられましたね。内容が内容だけに、男性キャストのみの編成で違和感はないかなと危惧していましたが、意外に気になりませんでした。当方息子のみの父親ですが、子育てには反省しきり。

  • 実演鑑賞

    面白かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    上弦を観劇。素晴らしかったです。

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