満足度★★★
まだまだ若くてギラギラした安蘭けいさんのノーマ,
映画では古典中の古典、有名な『サンセット大通り』のミュージカル版です。
トーキーという映画の波に乗れずに自宅の豪邸に引きこもってしまった
サイレント映画時代の大スター・ノーマは、売れない若き脚本家・ジョーに、
復帰作となる自伝のシナリオを書かせるため、自宅に住まわせるが、
やがてジョーに恋してしまう。
最初は巻きこまれながらもノーマの財力を利用するジョー・田代万里生さん、
ノーマを育てた元監督であり、元夫でもあった執事野マックス・鈴木綜馬さん、
映画の夢と挫折が渦巻くハリウッド。
登場人物は皆、一癖もふたくせもありそうな人ばかりで、
ヒロインである彩吹真央さんの役ですら、婚約者の不在中にジョーと恋に堕ちるんだから。
安蘭けいさんのノーマは、まだまだ若くてギラギラした夢と欲望を
抱いていて、老いや枯れた様子は、全く感じさせない。
歌声ももちろん素晴らしい。
世の中の動きを冷静に見ることができない、世間とは感覚が全く違う
「大女優」の、哀しさ、滑稽さを、生き生きと演じられていました。
そのため、ラストで少し驚かせる場面があるのも、なかなかうまい。
ホリプロ主催なことや、ノーマには安欄さんはまだ若いこととか、
前評判は決して良くない作品でしたが、それほど悪くないと思います。
但し、最初のほうのアンサンブルやジョーの歌のいくつかは、
抑揚が少なくて乗りにくさを感じました。
それにしても、かの有名なセシル・B・デミルだけ実名で役があるのは
なぜなんでしょうね?(映画版も同じく)
ちなみに同映画にリスペクトした、本当にたくさんの他の舞台のうち、
最近観たものでは、大スター役に
小柳ルミ子さん(「ミュージカル・スターは夢を見る」2009年/劇団とっても便利)とか、
三田佳子さん(「印獣」2009年/ねずみの三銃士)が演ってられましたね。
満足度★★
一縷の望みを掛けたけれど
やはり、期待しなかった以上の、良い意味での期待はずれはありませんでした。
まず、冒頭10分は、観に来るんじゃなかったと本気で後悔しました。
信頼している劇評家が、「正確な歌唱に豊かな表情が加わり、演技面でも成長。」と書かれた田代さんの演技ですが、初体験の私には、それでもまだ演技面に表現不足を感じ、慣れるまで時間を要したことと、字幕が必要だと思う程、歌詞の内容が全く聞き取れず、このままなら、1幕で帰ろうかと思った程でした。
でも、だんだんと、芝居が進行するに連れ、台詞劇部分が多くなると、聞き分けられるようになり、安堵しました。
長い間、待ち望まれた日本初演舞台だったのに、演奏も、お手軽で、音が薄く感じられ、ガッカリしました。
できることなら、ノーマは、麻実れいさん、ジョーは、井上芳雄さん、山本耕史さん、伊礼彼方さんあたりで観たかったと切に思います。