満足度★★★
プーランクとアポリネール、そしてコクトーとピアフ
20世紀初頭に活躍したギヨーム・アポリネールの詩にフランシス・プーランクが曲を付けた歌曲とオペラを中心にした公演で、小さな会場に合った演出が効果的で楽しめました。
『プーランク・キャバレー』
プーランクの歌曲を中心に、プーランクやミヨーのピアノ曲、また同時代にエデイット・ピアフが歌っていたシャンソンをあるキャバレーでの出し物という設定で構成していて、当時の文化的雰囲気の豊かさを偲ばせる内容でした。
シャンソンの『万歳!道化師』を歌った南谷朝子さんの歌と演技が悲哀に満ちていて素晴らしかったです。曲と曲の間を繋ぐ狂言回し的な役割を演じた山本光洋さんパントマイムのが楽しかったです。
『ティレジアスの乳房』
ある夫婦の妻の胸がなくなって髭が生え、男のように生きようとするのに対し、夫は一人で4万人以上の子供を生むという過度なフェミニズムを茶化したかのようなシュールな物語を、質素ながらもユーモラスな演出で描いていました。
冒頭はシリアスに始まりますが、以降は軽妙で洒落た曲が続き、楽しめました。演技がオペラでありがちな取って付けたようなものにはなっていないのが良かったです。
主役のテレーズを演じた西本真子さんがコロラトゥーラの技巧とチャーミングな演技で素敵でした。当初予定していた人の体調不良により出演することになった、夫役の鈴木俊介さんは歌も演技も線が細く感じられましたが、引き寄せられる魅力がありました。