実演鑑賞
満足度★★★★
江古田の短編集、今回で3回目 シリーズと言っていいのかな。とても滋味に溢れ 心に染み入る公演。
劇団名の通り 畳(タタミ)二畳の空間にシンプルな舞台セットを配置し、日常のありふれた光景を切り取った短編2編。観たのは、「A.箱根旅行の思い出」と「D.あるいはピクルス」で、趣が異なる作品でとても面白かった。当日パンフで劇団二畳プロデューサー 四方田直樹 氏が「物事が進まない人たちの物語」と記しているが、それは その時代に生きた世代によって捉え方は異なる。
公演の魅力は何といっても、アクティングスペースまで50㌢ほどの至近距離で演技を観ることが出来るから、表情は勿論 細かい動作まで分かる。あまり全体を観る必要もなく 勿論 俯瞰するなんてこともない。ありふれた光景ゆえ、共感や納得等することが多い。子供の頃の思い出とは別に、親になって初めて気づかされる場面もあって苦笑。人の機微をしっかり捉え表現しているところが凄い。
「A.箱根旅行の思い出」は、タイトル通り 1990年代 箱根への旅行、宿で家族団欒のひと時を過ごすはずが、何故か楽しめない。旅先だから といった特別・非日常を大切にするか、旅行も日常の一コマと捉え淡々と過ごすか。ラスト、祖母が孫娘(次女)に囁いた言葉が強烈だ。
一方「D.あるいはピクルス」は、日常の生活というよりは、過去と現在の時間が或る出来事(事故)で分断され、新たな暮らしを得た といった不思議な心情を描いている。登場人物は3人で、始めはその関係がどうなっているのか戸惑うが、だんだんと事情が分かってくると少し切ない。
(上演時間70分 1話/2話の転換に2分 休憩なし)
実演鑑賞
満足度★★★★★
本当に狭い古民家だから、役者と面と向かう感じだが、皆いい表情をしていた
旅行の思い出はお母さんがひとり思い出作りに奮戦する感じだが、家計の事情など今の若い人には「そんなに?」という感覚かもしれないものの、自分らの子どもの頃には「そうだよな、なかなか家族旅行なんてね」というところもあって大いに共感できた(特にお父さん)
たきざわちえ象さんが分かっているのかいないのかのとぼけたおばあさんを好演
お母さんのイライラの様子も良かったな
その最初と最後の呼応もなるほどと思わせた
早坂君は訪ねてきた昔の教え子を思い出せず、昨今の事件のような詐欺か強盗と勘違いしてひと騒動
ちえ象さん早坂君でも良かったが、設定の年齢、病状からするとちょっと動きが俊敏過ぎたかな
丸山小百合さんは「おっ、いつもと違っておしとやかじゃん」と思ったが、途中でちゃんといつもの感じになった(笑)
やっぱり四方田さんの世界は、さりげない日常の中で起きるちょっとしたハプニングを温かく描いて、ほんわかした気持ちで会場を去ることができるから好きだな