パパからもらった宝もの 公演情報 パパからもらった宝もの」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/08/31 (土)

    座席1階

    縁あってゲネプロを見せてもらった。角膜移植とアイバンクの物語。児童劇団の卒業生らでつくる劇団とあって、しっかり鍛えられた歌唱と踊りはさすがだと思った。

    角膜移植がどのような形で行われるのか、病院を舞台に展開する物語で分かりやすく提示する。主役は新人の角膜移植コーディネーター女性。勤務初日に自分の職場でなく、首都高での多重事故で多数のけが人が運び込まれて大混乱する救急医療の現場(ER)に迷い込んでしまう。
    亡くなった人の角膜を目の見えない人に移植する、その橋渡しをするコーディネーター。死亡したばかりの遺族に角膜提供の機会があることを説明する使命もある厳しい仕事だ。臓器移植法の施行で心臓や腎臓などの臓器提供意思表示カードを持つ人が増え、そこに角膜提供の意思も同様に表記されている。だが、実際に救急医療の現場でカードが提示されることは多くない。それだけに、コーディネーターの役割は大きいと言える。
    愛する人を失って悲嘆に暮れる母子、それでも亡き夫の一部が生き続けるという理解で提供に踏みきり、そのお陰で光を取り戻した二人の子どもを中心に物語は展開する。その中で、移植医療の限界にも言及されたのはとてもよかった。移植は万能ではない。だがそれでも、なぜ角膜移植が必要なのか、舞台はきっちりと教えてくれる。

    ドナーとレシピエントの関係で、現実には起こり得ない設定もあるが、それは両者の関係を分かりやすく示すためだから仕方がないのかも。ただ、角膜移植の歴史を歌唱で説明したのは、少し分かりにくかった気がする。
    それでも、この舞台は日ごろはまったく関心のない人たちに角膜移植のことを知ってもらう絶好のツールとなっている。子どもたちの熱演を見ながら学んでほしいと思う。

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