Flower 公演情報 Flower」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    現代と過去(戦国時代)を往還する というよりは綯交ぜの混沌とした物語。解ったようで実は理解が追い付かない独特の世界観だが、飽きることなく観ることは出来る。この団体 気になっていたので観に行ったが 満席いや増席するほど盛況。開場前から並んでいる人が多く、コアなファンに支えられているといった印象だ。

    心の在り様は、時代が違っても…例えば 花にも色々あり 一輪でも存在感ある大輪を咲かせるものもあれば、人知れず野に咲く花もある。それを戦国武将の生き様に準えて描く。もっとも戦国時代と言っても柴田勝家とお市(織田信長の妹)が北ノ庄城で自害するところから大坂夏の陣(主人公 真田幸村が討死)迄を駆け足で描いている。そのため ある程度知られた出来事(史実)を掻い摘んで紡いでいることから、全体的に粗くなっていることは否めない。ちなみに、お市の娘 茶々(後の淀殿)を戦国時代に生きた女性の代表格のように描く。冒頭 お市の最期のシーン、たとえ女性であっても自立することが大切、そんな旨の台詞が現代へのエールに思える。

    「兎団式、何でもありの一大絵巻」という謳い文句、個々の武将の心情の深堀というよりは、エピソード等を誇張することで興味を惹く。そしてその時代をどう生き抜くか、その生き様が華々しかろうが 枯淡や簡素であろうが<どう生きるか>が重要だと。これが現代(シーン)の悩める中年男へのメッセージに繋がる。

    一見 雑然とした描き方のようだが、史実としての物語は流れており 観せる工夫として歌やダンス、そして衣裳やメイクといったビジュアルで魅せている。勿論 効果的な音響音楽や照明の諧調によって印象付け、それら舞台技術が物語をしっかり支えている。
    (上演時間2時間 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    暗幕で囲い 上手 下手に非対称の黒い階段状の段差、入口近くにある置台に黒電話。至る所に切り絵が貼り飾られているだけのシンプルさ。戦国時代という乱世の光景(殺陣・アクション等)を描くためにスペースを確保しているのかと思ったが、それほど激しい動きはない。動作には、パントマイムで観せる場面も多くある。

    物語は、現代の名無し男が、車で東京(江戸)に向かうシーンから始まる。名無し男は、架空の電話相談へ掛けるが、その相談事が曖昧というか要領を得ない。高校を卒業して15年、何の変哲もない生活を続け このままで良いのか自問自答している。何の不自由もなく大きな悩み事もない。漠然と生き甲斐のようなものに憧れているよう。

    戦国時代の武将は日々生きるか死ぬか、家名の存続と家臣の生命と生活を抱えている。主人公は真田幸村、父 昌幸と上田城にて関ケ原の合戦に馳せ参じる徳川秀忠の大軍を少数精鋭で足止めて、知略・勇猛を世に知らしめた。勿論真田十勇士といった魅力ある人物が登場する話もある。戦国時代の終焉となる大坂の陣(冬と夏)の活躍を描いており、そこでは勝ち目がない豊臣方に味方している。そこに戦国の世を、そして武将としてどう生き死ぬかといった生き様を見せる。

    現代の平凡なサラリーマンと戦国時代の勇将を比較するような描き方、そこに人それぞれの考え方や生き方を投影する。ちなみに大坂の陣では、後藤又兵衛・木村重成といった歴史好きには馴染みの人物も登場するが、真田幸村に比べると華がない(語弊があるかもしれないが)。そこに歴史に埋もれそうな人物をも照らし出す。戦国という刹那的な時代を取り上げながら、ダンスや生歌という魅せる演出で盛り上げる。そこに 独特の世界観の演出する巧さを感じる。
    次回公演も楽しみにしております。

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