満足度★
消化不良
東京乾電池が運営する役者養成所の終了公演で、全員が出演出来るようにとの配慮からなのか、登場人物が31人もいる作品だったので、話の焦点が定まらず、散漫な印象が強かったです。
銀行や飲食店などのパロディ看板が宙や床に散在し、中央に街路樹が抜かれた跡があるセットの中、電車が終わって始発が出るまでの時間帯における、ボランティアで町の清掃する人達や、荷物を運ぶように依頼された便利屋の2人組、バイト帰りの人達、たむろする若者達などの話が特に大きな事件も起きずに淡々と連なり、それぞれが抱える悩みがうっすらと見えてくる作品でした。
ドラマ性もパフォーマンス的要素もなく、台詞のやりとりだけで引っ張っていかなければならない、役者の能力次第で面白くもつまらなくもなるタイプの作品だと思うのですが、残念ながら若い役者達には荷が重かったようで、約100分間の上演中で惹かれる瞬間が全くありませんでした。
感情が込もっていなくて相手との会話になっていないような棒読みはわざとだと思うのですが、そうする意図が伝わってきませんでした。
物語の展開とは関係のない環境音として、歌入りのBGMが結構大きな音量で鳴り続けていたり、宙に吊られた看板がバタバタと落ちていく演出も意図が汲めず、作品を分かりにくいものにしていたと思います。