満足度★★★
豪華競演
バレエカンパニー5団体とデュオ1組のオムニバス公演で、様々なスタイルの作品が上演され、カンパニーの個性を見比べることが出来て、楽しめました。
新国立劇場バレエ団
『アラジン』から「財宝の洞窟」
(振付:デヴィッド・ビントレー 音楽:カール・デイヴィス)
オムニバス公演らしからぬ大きなセットを持ち込んでの上演で、少人数のアンサンブルが次々に出て来て踊る、華やかなで楽しい作品でした。ルビー役を踊った長田佳世さんの軽やかな動きが際立っていて印象的でした。
Noism1
『Solo for 2』
(振付:金森穣 音楽:バッハ ヴァイオリン:渡辺玲子)
舞台上で弾かれるバッハの無伴奏ヴァイオリンに合わせてストイックなダンスが展開する作品でした。デュオの振付を別々に1人ずつ踊ったり、同じ振付がカノン風に重なったりと、凝った構成が興味深かったです。男女の区別が付きにくい衣装を着ていて、不思議な雰囲気がありました。
谷桃子バレエ団
歌劇『イーゴリ公』から「ダッタン人の踊りと合唱」
(振付:望月則彦 音楽:ボロディン 合唱:藤原歌劇団合唱部、二期会合唱団)
合唱団の人達も衣装を着てステージ上で歌う、オペラの中のバレエシーンをそのまま抜粋した豪華な上演でした。民族的な衣装や振付が印象的でしたが、音楽の盛り上がりに比べてダンスはゴチャゴチャしていて、あまり魅力が感じられず、残念に思いました。
牧阿佐美バレヱ団
『ライモンダ』第三幕から「グラン・パ・クラシック」
(振付:マウリス・プティパ、テリー・ウエストモーランド 音楽:グラズノフ)
まさにクラシックバレエといった感じの演目でした。決めのポーズを大事にしたカッチリとした動きが美しかったのですが、音楽のテンポに追い付けていない箇所が所々にあってもったいなかったです。男性4人の踊りが良かったです。
東京バレエ団
『ザ・カブキ』から第八場「雪の別れ」、第九場「討ち入り」
(振付:モーリス・ベジャール 音楽:黛敏郎)
忠臣蔵をベースにしたベジャールの名作の初の生演奏ヴァージョンでの上演で、オーケストラ、合唱、三味線、和太鼓等に合わせて、多数の男性ダンサーによって迫力のあるダンスが繰り広げられました。馬蹄形、円、三角形といったフォーメーションが美しかったです。
吉田都&ジョセフ・ケイリー
『真夏の夜の夢』から「オベロンとタイターニアのパ・ド・ドゥ」(振付:フレデリック・アシュトン 音楽:メンデルスゾーン)
牧歌的で静かな雰囲気の作品で、派手な大技はありませんでしたが、吉田都さんの緩急の付け方が印象的な繊細な踊りが美しかったです。腕の動きが表情豊かで素晴らしかったです。上演時間が短く、もっとたくさん、出来れば早いテンポの作品も観たかったです。
最後は『眠りの森の美女』の「ワルツ」の演奏の中、出演者全員が舞台上に登場し、バレエダンサーが180人以上並ぶ光景が圧巻でした。
セットや音楽の生演奏等、踊り以外の要素にも力を入れていて、1回しか公演がないのが勿体なく思いました。ぜひ来年以降も企画を継続して欲しいです。