穏やかな罅 公演情報 穏やかな罅」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-5件 / 5件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    素なのか演技なのか境界がわからないほど、技量のある芝居でした。日常のシーン1つ1つが熟練の役者によって臨場感溢れるものとなっています。私は穏やかな罅というより穏やかな日々と捉えました。サンハロンさんは初めてでしたので、これまでの公演も観たいです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    淡々と現実にありそうな話で共感持ちつつ拝見。面白かったです。結果、悪い人は一人もいなくみんなそれぞれ頑張ってるんだなあ…と、感傷にひたりつつ、何だかんだ優しい時間を過ごせた気がします。私は、好きな作品でした

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/08/30 (金) 14:00

    自分の中でも曖昧な、結論の出ない思いを素直に言葉にしたら
    こんな会話になるのかなと思う。
    その思いを受け止めてくれる相手がいて初めて成立する会話が温かい。
    悪徳業者だと思っていたら、意外なラストにめちゃめちゃ感動してしまったぜ!

    ネタバレBOX

    来年1月までに立ち退きが決まった古いアパートの一室、
    元同僚という中年男2人が一緒に暮らしている。
    淡々と、利害関係もなくただ同居しているというのが好ましい。

    お人よしの男1は、隣室の女性が不動産業者と立ち退き契約を交わす場に同行したりする。
    女性は手土産の菓子折りを持って、言われるままの立退料に判を押して去って行く。

    ポストに入っていた「水族館リフレ」という怪しい(?)チラシの店に、
    男二人は別々に内緒で通っていたが、ある日店でばったり出くわしてしまう。
    同じリフレ嬢の客だったことが判明する。
    男2は、リフレ嬢にストーカー呼ばわりされつつ人生初の「好きです!」と絶叫する。

    直後、男二人の穏やかな日々に小さな変化が生じる。
    何となく立ち退き後も次の住まいで同居すると思っていたが
    初めて別々に暮らそうか・・・と思い始めるのだ。
    無邪気に、隠し事も遠慮もなく無理せず暮らして来たオジサン二人の日常に
    壊れるのではなく、カリッと微かな罅(ひび)が入る感じが絶妙。

    ”今さらの自我”というか、”大人の秘密”というか、何か”共有すべきでないもの”が
    芽生えたように見えた。
    罅は自立と変化の兆しという気がした。

    登場人物は皆、根は優しくて思いやりのある人々だが、
    悪徳不動産業者だけは気持ちいいほど金の亡者だと思っていたら・・・、
    何とラストの素晴らしいことよ!
    あの菓子折りの使われ方と、男1の無駄な抵抗(に見えた)行動が
    こんな結末を呼ぶとは、想像もしていなかった。
    無欲で、素直な行動が、相容れない人の心をも変えてしまうという
    この「土禁」と「菓子」のラストシーンで、全てが報われ回収される。

    役者さんが皆、淡々とした台詞に気持ちを乗せるのが巧く、惹きつけられる。
    シンプルなセット3点を素早く移動させるだけの場転も効果的だと思った。


  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    大図愛さんを年に一度は観ようと思っているのでチケットを予約したものの当日はまさかの台風襲来、笑えるくらいの土砂降り。
    だが作品は好きなテイスト。全国の大図愛マニアは必見、集結セヨ。

    思えば中国に返還される前の香港映画にはこういう作品が多々あった。ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウの出ない後期『福星』シリーズな感じ。一体客層のターゲットを何処に絞っているのか全くの理解不能。だがそこがいい。心を込めて作った誰も観ない作品、それは極上だ。いつか世界の何処かで孤独な誰かがそれを眺めてひっそりと微笑むことだろう、きっと。ジョン・シャム(モジャ)やリチャード・ン(チンケ)を思わせる何の取り柄もないおっさん達の与太話。

    内藤トモヤ氏と田野良樹氏は前の会社の同僚、今はボロアパートで同居暮らしをしている。建物の老朽化により立ち退きを迫られ、住民はちょっとヤクザっぽい連中との交渉中。そんな中、ポストに入っていたチラシの一枚にリフレ『水族館』と。ちょっとどんなものか気になる二人だったが···。北朝鮮からの弾道ミサイルが天気のように予報される呑気な日本の一コマ。

    高齢者モラトリアムはすぐにでも確立されるであろうジャンル。今作はリアルと文学の間を器用に突いている。
    『穏やかなヒビ』。日々なのか罅なのか。どっかで何かを間違えた気がしながら暮らしている。さて自分は一体何を間違えたのか?流れる曲は椎名林檎やらエモ切ない感傷的なもの。新海誠の高齢者ヴァージョン。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    ハロン(furlong)とはイギリス英語で200mの単位。上がり3ハロンとは競馬用語でゴールまでのラスト・スパート600mのこと。多分そういう意味だと思っているが、綴りが3 far longなので違うかも知れない。

    内藤トモヤ氏は人懐っこさがなべおさみっぽい。
    寸詰まったズボンの丈をやたら気にする田野良樹氏は羽生善治顔。
    彼の姉の英枝さん、その旦那の刀根直人氏。自分はFtMと受け取ったが確証はない。
    リフレ嬢・大図愛さんは魚の着ぐるみパーカーで可愛らしい。リアルな存在感は今作も抜群。行き場のない心をただゆらゆら揺らしている。
    店長・和泉輪さんは男役なのか?
    お洒落な重井貢治氏は『不良牧師!』ことアーサー・ホーランドっぽい。
    垣内あきら氏はメヒコのマフィア調でサムソン冬木を思わせるチンピラ風味。
    麻乃なつ希さんもワンシーンだが印象的。彼女の買ってきた菓子折りがエピローグに生きる。

    エピローグはアカデミー賞を取った『クラッシュ』を思わせるもの。

    もっと長く濃密に描いてもよかった。それには長編小説を書き切る覚悟が必要。人間模様の羅列だけではなく、生きる人と死ぬ人それぞれの葛藤と取っ組み合わなくては。いつか作家にとっての完全版を観たいもの。

    ※丁寧なコメント恐れ入ります。そりゃ次回も観に行かせて頂きます。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    役者さんも観客もシニアの割合が高い舞台。シニアには身につまされるエピソードばかりで、う~んと考えさせられます。みんなお星さまになっちゃえばいいのに。

このページのQRコードです。

拡大