鬼啖 公演情報 鬼啖」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/05/11 (土) 12:00

    かつて芸術集団れんこんきすたで上演された奥村千里による衝撃の二人芝居。

    まず思ったことは奥村千里の戯曲は濱野和貴の尽力によりこのtroupe▲antLionで上演を引き継がれているが、やはり素晴らしい作品が多い。それだけに主宰だった中川朝子の不実によってれんこんきすたが解散せざるをえなかったことが無念でならない。
    なにしろ奥村は作者としては日本劇作家協会の新人戯曲賞で最終審査に残った6人のうちの一人だった(対象作「Gloria」は審査員の坂手洋二や渡辺えり子の評価は大きかったが、実際には上演されていたにも関わらず「これって上演するの無理でしょう」という理不尽な理由で受賞を逃したのだった)し、演出家としても日本演出者協会の若手演出家コンクールで一次審査を通っていたのだ(二次審査が「木立によせて」となり、これは演者の力不足が大きかった)。

    閑話休題、トリプルキャストの内のAチーム(町田恵理子&小松崎めぐみ)を鑑賞。定刻に開演。上演時間80分。
    ただ12時開演(11時半開場)に間に合わせるにはかなり早く自宅を出ねばならず、朝食抜きで出たために、入場後のポップコーン食べ放題が有難かった(笑)。

    (以下、ネタバレBOXにて…)

    ネタバレBOX

    山間の村で捉えられた人を喰らう鬼とそれを折伏して欲しいと頼まれた旅の尼僧との息詰まる会話劇。その対決の中で明かされる尼僧の過去を通じて、念と業と罪と祈りとを深く考えさせた。

    最初に尼僧(町田)と縛られている鬼女(小松崎)とが対峙する時に、鬼女が多少身を引き気味に感じられ、その分村人や人間に対する恨みの念が弱いように思えたのだったが、終盤でそれが活きてきた。

    小松崎のメイクは大きな傷や腫れあがった右目など村人から痛めつけられた様が痛々しいが、それに反して歯が真っ白なのが気になった。歯をもっと汚すべきだった。
    れんこんきすたでの上演時は亀甲縛りにするために専門の緊縛師に習いに行ったとのことで、終演後も簡単には解けないようにされていたが、今回はそこまでのことはなく軽く縛っただけだったようだ。

    それにしても町田の尼僧姿の美しいことといったら。高貴ささえ湛えて、まさに後光が指しているようだった。
    それだけに武家の娘だった時に許婚を女中に奪われた悔しさを語るときの悲痛さが痛々しく伝わってきた。
    因みに茣蓙のところで草履を脱ぐ仕草がとても良かったのは川田ももによる所作指導の賜物か。

    緊迫した濃密な空気感に満ちた舞台だった。

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