雨とベンツと国道と私 公演情報 雨とベンツと国道と私」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-11件 / 11件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    いい芝居だったし。考えさせられる芝居だった。
    凡庸な表現だけど、ほんとに、いい芝居。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    何回観劇してもよかった、傑作。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    正直ツボであった。ハラスメントがテーマとして浮上しており、回想場面と現在進行形の場面を行き来するが、芝居の真ん中で長尺の回想場面がぐっと入り込ませる。根底には総合芸術である映画を「創り出す」営為と、非対称的な関係性の歪みをどう評価するか(できるか)の問題がある。前作「ビリー..」も劇団の話だったが、映画現場ではより「仕事」の側面が強くなる。芸術性の要素に「お金」の要素が大きく絡む。勢い現場は熾烈になる。ハラスメントすれすれの言動が飛び交う。

    句読点シリーズが始まった頃だったと思うが入場料3000円にこだわると宣言し、コロナを経て今はそれをアピールすらしていないが、今となっては破格である(無論芝居のレベルも勘案して)。
    芝居は映画界に憧れを持つ(講座に通ったりして一度現場の手伝いに入った事がある)女性が語り手となり、彼女の視線で久々にお手伝いを乞われて久々に訪れた撮影現場の光景が描かれる。だが彼女は語り手に留まらず、徹するのでなく、以前行ったその現場と、久々にお手伝いを頼まれて訪れた現場の二つは、世の中では終息しようとしているコロナ同様、彼女にとって「終っていない」問題として交錯する。彼女がかつて見たハラスメントの飛び交う現場は、彼女にとっては「勇気をもって立てなかった」忸怩とした過去であり、それは彼女の儚く終えた「初恋」に絡んでいる。パワハラ一般の問題ではなく、個的な体験としてある。世間一般で言う「パワハラ」はその当事者である監督のスキャンダルとして映画界から放逐される要因として機能するのみ。物語はそうしたもやもやと未解決に取り残された問題群を看過する事なく、最後に拾い上げる。
    見事に溜飲を下げる場面に私は快哉を禁じえなかった。放送コード、コンプライアンス・・表現そして芸術の領域に、これらが果たしてどう有効に機能するのかは大きな議論が必要だと思う。その議論を喚起するに適切なケースが、この芝居では作られている。そこが巧い。色々と語りたくなるが、もう少しまとまったら書いてみるか。。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    パワハラを扱ったお話かと思って見に行きましたが、それだけじゃなかったですね。
    笑えるところもあって面白かったです。
    ラストの五味ちゃんの声かけさえ「パワハラ」と取られかねないんでしょうか。
    「パワハラ」も難しいです。
    もう40年近く前に小劇団のお手伝いをしたことがあります。今回の監督に比べたらパワハラ(などという言葉はまだなかった)と言えるようなものではなかったですが、やはりきつい言葉やダメ出しはあって、それを座長がやんわりととりなしてと言う感じで稽古と舞台は続いたのですが、途中から私は耳鳴りが始まり、耳鼻科に行ったら「ストレスでは?」と言われました。自覚はなかったのですが、公演が終わって劇団の人たちと会う事もなくなったらすっかり治ってしまったのでした。ただのお手伝いの私は演出家に怒られる事も怒鳴られた事もなかったのですが、その場にいるだけで被害者になってしまった五味ちゃんの気持ちがわかる気がしました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/06/21 (金) 19:00

    とても心揺さぶられる芝居だった。
    ラストの感じは好みであったが、内容が内容だけに観る人によっては苦痛を感じるかもしれない。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/06/21 (金) 19:00

    110分。休憩なし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    相変わらず、蓬莱隆太らしい、心がひりひりさせられる芝居だった。パワハラで人を傷つけた人間は、もう社会的に許されないのか。パワハラは見ていて痛ましいが、「仲良しごっこでいい映画は作れないんだ」という監督のセリフにもウソがないだけに、考えさせられる。作者は「許すべきではないか」と考えているようだ。それがパワハラ容認ととられる危険性もある。難しいところだ。

    さえないメガネ女性五味栞を演じる山中志歩の、根暗で引っ込み思案で面倒臭そうな人間の姿が見事だった。セリフ量も膨大。全体の半分くらいあるんじゃないか。彼女のおかげで成功した舞台である。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    モダンスイマーズ25周年作品。コロナでしばらく劇団作品は見ていなかったが(ここ五年の間に二作だという)「現代新劇」とでも名付けたくなる作風は健在である。
    「デンキ島」はあまり素材になってこなかった沿岸離島の青春期から成人期の若者を描いて新鮮だったし、バブル崩壊後の若者を中心に地方の家族を舞台にした庶民劇「まほろば」は、現代新劇の路線でよかった。最近は、劇団外の大手興行会社からの注文で得意とは見えないファンタジー系もある。どれもそつなくこなしているうちに、いまや女優との噂がスポーツ新聞の記事になる中堅の地位を固めている。周囲に同じような作風の劇作家がいそうで、いない。そこが重宝される由縁だ。無理をしないで、期待に応えている。
    今回の舞台は、地方(群馬)で撮影される地元の自主映画の撮影現場である。パワハラで仕事がなくなって、やっと地方の自主映画を名前を変えて監督することになった監督(小椋毅)が慣れないニコヤカ・ムードで仕事を進めている。
    自主映画は、地元出身のそろそろ30歳代も終わりかけの元女優(小林さやか)が良人を亡くし、その思い出を映画にしたい、と見つけてきた監督以下の映画の制作陣で撮影が進んでいる。撮影現場でのお手伝いにと、かつて東京で女優志願時代の同年代の友人(山中志歩)を呼ぶ。舞台はグレイの単色のノーセットで、物語はナレーションも芝居と並行しながらこの部外者の視点で語られていく。テンポよく次々に過去・現在のシーンが展開する。
    表向きのテーマは映画製作の場でのパワハラになっている。
    撮影現場のトラブルはよくある話のレベルだが、東京でだらだらと生きてきた女優志願時代の友人が現場に入ってきて、ドラマは面白く動き出す。友人は監督がかつて一緒の撮影現場で出会ったパワハラ監督だと見破る。監督が乗っている古いベンツに見覚えがあったのだ。この友人の沈滞の20年そのもののような(名前も五味栞、愛称ゴミチャンである。つまらないようだがこういうところ上手いのである)視点も面白いが、それにもまして、外れていることに本人が気づかずに集団に平然とついていく現代人の多くの滑稽さを演技でも体現しているゴミを演じた山中志歩はこの公演随一の殊勲者だろう。パワハラの話はそれなりに出来てはいるが、話よりも、作者はそれを担う人物たち、パワハラを捨てきれない監督やカメラマン、地方の市民ミュージカル出演を誇りに俳優気取りの地方人(古川憲太郎)成り行き任せの若い助監督、などなどの人々を巧みに描いている。沈滞の20年はナニも経済や政治の沈滞だけでなく誰もが安易に手にした無気力無責任で生きられる生活が生んだのではないか、と言っている。ラストは映画の撮影で、相手役の若い男優が雨の中の空漠とした国道を走り出すところで終わっている。ここでダメ押しの台詞をつけていないところにもこの作者の年輪を感じる。
    この劇団はいつも男性の俳優しかいなかったが、25年の間にほとんど顔ぶれも変わっていない。そういう人付き合いの濃いところが作風にも出てきたように思う。今回は小品だが、いつも面白く見せてしまう劇作家というのは数少ない。1時間50分。自由席3千円で満席。




  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    モダンスイマーズ『雨とベンツと国道と私』を観劇。

    あらすじ:コロナで体調が芳しくない五味栞に、夫を失った友人から自主映画を撮るので手伝いに来て欲しいと依頼される。栞は映画の撮影現場で働いていたのだ。
    現場に行くと六甲トオル監督を紹介されるが、どうやら以前に一緒に仕事をした事があるのだ。彼は現場での暴力、暴言などで、SNSで女優に訴えられ消えてしまっていたが、名前を変えて再活動をし始めたようだ。
    だが栞も彼から受けていた傷が未だに癒えず、事件の実態を暴き始めるのであった…。

    感想:『ハラスメントによって世間から抹殺され、仕事を失い、赦しを得られない人たちの罪と罰はいつ終わるのか?』
    『ハラスメントを受けて未だに心に傷を持っている人たちはどうすれば寛解するのか?』
    今の時代には避けては通れない議題を両方の視点から作っている。
    六甲監督のハラスメントの場面は、俳優の演技力もあってか見るに耐えかねてしまうが、良い映画を作る為には仕方ないと訴える六甲監督の叫びに頷いてしまう己がいる事を忘れてしまいがちだ。だが作家は決してそれを許さず、必要に迫ってくるからか、心の隙間を見られている気分になってしまう。加害者と被害者の言い分を映画作りの現場を通して考えさせる展開の上手さと夫を支配して死なせてしまった妻の懺悔を二つの軸に重ね合わせる構成はピカイチだ。更に六甲監督と栞の演じた俳優のキャラクター作りの上手さが更に輪をかけてくる。
    心が揺さぶられ、見応えのある瞬間が経つにつれて、厄介な問題の落とし所が気になり始めると、『どのような答えを作家が導き出すのか?』
    『それとも観客が答えを見つけるのか?』
    だが重い内容に反して、気持ちの良い演劇っぽい終わり方に違和感を感じ、初めて蓬莱竜太に不満を抱いたのだった。
    「これでは観客は劇場を後に出来ません…」
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    110分休憩なし

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/06/14 (金) 19:00

    一応は創立25周年記念公演だそうだが、ベテラン劇壇らしい、緻密ないい芝居だった。110分。
     とある映画撮影現場を舞台に、過去にパワハラをしていた監督と、そのことに絡む事件に関わった手伝いの女性を軸に、関わった人々の群像劇。演劇にも通じるセンシティブな問題を扱った秀作。時間軸を前後させて、過去と現在を巧みに交える。後半は解決とは言えない展開だが、それだけにリアルを感じる。モダンスイマーズらしい芝居だと思う。軸になる山中志歩は何度か観ていたハズらしいのだが、気づかなかった自分にダメ出し。照明が美しい。

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