東野祥子『そこへたどりつくために』 公演情報 東野祥子『そこへたどりつくために』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★

    不穏な空気
    間口より奥行きの方が長い空間の中で、ダンスと映像と音楽が衝突し、観客に媚ることのないハードな雰囲気の作品でした。

    ロシア風の帽子、赤いコート、ハイヒールの東野さんが舞台奥の木の幹のような複数の布のオブジェの間を行ったり来たりするところから始まり、コートや靴を脱ぎ捨て、舞台前面に出てきて激しく踊ったりのたうち回ったりし音楽も激しくなって行きました。音楽が中断し明かりも明るくなる中、東野さんが何かを訴え掛ける様に客席を凝視したのち、壁や床に幾何学的なパターンが投影される中を踊り、最後は客席に向かって招く様な仕草を繰り返しながらゆっくりと暗い舞台奥へと消えて行って終わりました。

    東野さんの壊れたロボットのような無機的な色気が魅力的でした。今回は踊り切らず、8割ぐらいの力で踊っているように見えました。もっと踊りまくって欲しかったです。
    伊東篤宏さんと鈴木學さんによる生演奏は電子的なノイズが大音量で鳴り響き、迫力がありました。伊東さんの演奏する、蛍光灯を改造した創作楽器オプトロンは演奏に際して光るので、映像と干渉しているときがあったのが残念でした。
    映像はクラブで流れる様なフッテージのコラージュや東野さんのシルエットが溶け出す様に見えるパターン投影など、色々な手法を用いて面白かったです。特に光の3原色を高速で入れ換えることによって静止していたりゆっくり動いているときは普通の色に見えるのに、早く動くと青・緑・赤の残像が見える効果が良かったです。
    それぞれの要素は良かったのですが作品としての統一感が弱く、ぼやけた感じになっていたと思います。

このページのQRコードです。

拡大