アラカン! 公演情報 アラカン!」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.9
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  • 言えてる
    いわゆるシニア演劇が話題の昨今、「あるある」というシーンや台詞が多く、しばしば苦笑しながら楽しませていただきました。シニアたちを苦々しく思いながらもじぶんたちも何かをみつけていくことが予想される劇団側の描き方もよかったです。プロ、アマの区別なく、演劇はだれにとっても楽しめるものだと思います。

    それにしてもプロの役者さんはすごいですね。

  • 満足度★★★★★

    魔法にかかった理由
    『アラカン!』、12日と19日に見ました。

    一度やってみたかったのが、「同じ芝居を、間をおかず二度見る」ということ。
    映画や小説、マンガではよく経験しますが、あまり間をおかずリピートすると、一度目は筋を追うのがせいいっぱいだけど、二度目はゆったり見られるから登場人物のようすに目が行き届き、気づかなかったことにたくさん気づける。
    お芝居はライブの緊張感があり、筋を追うのがとてもたいへんだから、二度見の効果も大きいと思う。

    でもお芝居はお金がかかるからねぇ…。
    これまでは、自分で二度見るかわりに、ほかの人の感想をきいたり、劇団や作家の方の話をきいたりすることで満足するようにしてました。
    (ちょうど劇場で売られていた唐沢さんの『リプレイ』っていう劇評本も、まさにそのために読みました)

    まあ、だからこそ、「これぞ!」と思った作品は二度見てみようと思ってたんです。『アラカン!』は一度見て、「これがその作品だ!」と思ったんですよねー。

    シニア向け演劇教室の素人役者が『オセロー』をやりたいと言い出す話、ときいて、当然、そのシニアさんたちの視点で見ることになるんだろうなあ、と思ってました。だってあたくし、文化祭とはいえ、いちおう部活で舞台に立ってるざますからねぇ(ドヤ顔)。いわば元素人役者でしょ、あたくしも。

    ところが(以下ネタバレ)

    ネタバレBOX

    ところが見始めたら、このお話は、シニアたちの指導と卒業公演の演出をまかされたプロの俳優・片瀬さんの視点に立つようにできていました。
    最初からイライラしてかんじが悪いにもかかわらず、片瀬さん、ものすごく共感できる。応援したくなる。だってひどいんだもん、このシニアたち。

    これはジャンルを越えて、「素人に自分の場を荒らされようとしているプロ」の話だからなんですねー。
    そこまでじゃなくても、クソ生意気な新卒OLに、目立つ仕事をとられたキャリアウーマンとか、パワハラにならないよう気をつけながら後輩の言い分を聞いてやる新任管理職とか、第二反抗期の娘に家事のしかたにケチをつけられる母親とか…「大人」ならだれもが経験する、やりきれない気分を刺激されるんだと思う。

    そんなわけで、片瀬さん視点で「これだから素人は!」「オレはなぁ、オレはお前らとは違ってなぁ」という苛立ちを楽しむことしばし。

    しかし、それではお話は完結しません。
    では素人たちが成長したり、幅広い人生経験を生かして片瀬さんを助けたりするのか?
    これが、違うんですよねぇぇぇ。

    素人さんたちを劇団側ではこっそり「アラカン(アラウンド還暦)」とよんでいます。で、このアラカンたちは、最後まで、「いきいきシニア」「プロ顔負けの素人」に生まれ変わったりしません。ただのアラカン素人のままなんです。
    でも、いつのまにか、「ムカつくオヤジやババァ」ではなくなっているんですよねー。どんな魔術?

    わたしはいつ魔法にかかったのか?
    二度目はそれを確かめにいきました。
    自分では、いちばんうまくて人望もあるアラカンが、みんなをひっぱったからかな、と仮説を持っていったんですが、どうも違ったみたい。

    まあ、魔法のききどころは人それぞれでしょうけど…。
    わたしに関しては、アラカンとプロのあいだにひかれている、越えられない一線が見えたとき、だったみたいです。

    アラカンたちは、いったん勝手なことを言い出しても、片瀬さんがキレたり押さえつけたりすると、いったん受け入れたり、言い分を取り下げたりします。
    自分たちの意見に、それだけの覚悟はないからねー。素人だもん。それだけはわかってるんだな、この人たち。

    最終的にこの対立は、まったく予想しないかたちに発展するんですが、でも、それを応援する気になったのは、アラカンたちとプロのあいだに一線がくっきり引いてあるからなんだろうなあ、と思いました。

    この一線を、プロの人たちは誇りに思っている。そしてその誇りが、ある人には心の負担になっていて、またある人は…。
    なーんていうところがよくわかるやりとりがあります。
    身近なたとえで語られるのですが、これがじーんと来る。

    それにしても、これはさんざん言われていることですが、「素人が芝居をするところ」を演じられる俳優さんたちの技術と覚悟はすごい!
    だって、ただヘタなだけじゃないんですよ。ムダにうまい素人とか、俳優っぽくすることだけはできる人(それも自分勝手な解釈の俳優像)、なーんてものを演じるんですよ。ああもう、プロにはかなわん!
  • 満足度★★★★★

    客観的な視点で楽しめるコメディ
    脚本が面白く、登場人物一人一人がよく描かれていて、とても楽しめる内容だった。

    いわゆるバックステージもので、それが中高年の養成所を舞台にしているところが興味深い。

    シェイクスピアの「オセロー」を先入観なしに素直に客観的にみつめる視点も生かされていて、秀逸なコメディ。

    最初、休憩込み2時間30分と聞いて、観劇前は長すぎるのではと思ったが、まったく飽きさせない。

    人情味も入れながら、湿っぽさがない幕切れにも好感が持てた。

    唐沢伊万里さんの次回作にも期待したい。

    ネタバレBOX

    俳優陣はそろって好演されているが、演出家・片瀬の後藤敦と看板女優・八神の南風佳子が特に印象に残った。

    片瀬は登場したときは厳格な劇団生え抜きといった趣だが、アマチュアに辛抱強く合わせていくところがとてもよく、捨て台詞の間が巧く、効いている。

    南風の八神は劇団の看板女優らしい華と貫禄があり、イアーゴーの男役の颯爽とした風姿が素敵だ。

    ただ一点、私が観た回は演出助手里村を諭す場面で「月島さん!」と言ってしまったのが残念。

    里村役の沖田愛も目立ちすぎてはいけない役だが、控えめでも役の性根をしっかり表現しているのは若手ながらさすがだと思った。

    ミュージカル好きの元銀行員向井(小宮和枝)がいちいち踊りながら演技して、足がつってしまうところは思わず笑い転げてしまった。

    だが、彼らの「オセロー」は終盤はミュージカル仕立てになっているのがご愛嬌。

    「確かに、最近のミュージカルは、必ずこういう歌が入るなー」とか思って観ていた。

    要所要所に入る創設者・広川役の納谷悟朗の独白ナレーションを聞きなが

    ら、テレビ草創期、洋画の声優として活躍されていたかただけに、その声に歳月を感じた。

  • 満足度★★★★★

    ”アラウンド還暦”最高に楽しめました。
    素人っぽいアラカン世代が「マクベス」を創り上げていく過程に無理がなく、なんだか還暦になった時の楽しみが増えたような気分に・・・
    南風佳子の演じる女優とその他の出演者の演じるアマチュアの演技(役柄上の)の対比も見事で劇中でありながら、さすがプロの迫力は違うわ!と思ってしまいました。素晴しかったです。

  • 満足度★★★★★

    悲劇と喜劇
    救いのない悲劇が喜劇になる、まさに表裏一体を魅せてもらった。素人役者を演じる役者の自然な演技も旨かったし、演出家と主役女優の会話も含蓄があっていい味を醸し出していた。演出助手の役者もスパイスが効いた存在感を放っていて、全体を通じていいアクセントになっていた。

  • 満足度★★★★★

    全力で拍手。
    素晴らしい舞台を観せられるとその感動をなんとかして役者達に伝えたくなるもので、けれど声をあげるほど大胆でも、表情で伝えられるほど柔軟な顔の筋肉を持っているわけでも、そもそもそんなに顔が巨大でもないので、とにかく拍手で伝えようと常々思っている。

    そんなわけで本作、すこぶる面白かったので、すこぶる全力で、すこぶる手のひらが痛くなるほどに拍手を送らせてもらった。

    それにしても題材となったオセロー・・・存在はなんとなく知っていたがその内容はまったくもって知らず、本当は存在しないのでは?とUFOやUMAなんかと同等に捉えていたのだが、周囲の皆様は当然のように知っている様子をちょいちょい見せていたので、もしかしたら自分が寝ている間に、中学校辺りの授業で習っていたのかもしれない。

    まぁそりゃどうでもいい話だ。

    ネタバレBOX

    どうでも良くないのは皆さんの演技力の高さ、そして歌唱力(?)とダンス力(??)。

    終盤、羊の皮を脱ぎ捨てた役者達に完全に食われる形になった。

    ホントまさか歌うとは・・・。
  • 満足度★★★★★

    とっても素晴らしい!!
    面白く、その上深みがある素晴らしいコメディでした。

    ネタバレBOX

    イヤ~ゴと言ったときの臭い節回し、すぐクルクル回る仕草、堪りません!

    オセローを一通りやってのけてしまった脚本に敬意、その代わり休憩入れて2時間半になってしまいましたが良しとしましょう。そして、単なるコメディだけでなく、ベテラン役者の心情、劇団経営の実情などの要素が加味されていました。

    この老舗劇団のオセローをやるということは、例えて言うならば、3時間を超える放浪記を東宝側に1時間にまとめさせ、素人が森光子さんの役をやりたーいと言っているようなものですから、そりゃあ無茶なわけです。

    確かにオセローの最後、悲劇を後世に残しましょうだけじゃ何か虚しいですね。誰も死なさず、嫉妬深さを反省し、情状を酌量しながら公正な裁判をし罪を受けるべき人は罪を受ける…、彼らの創造した結末の何と楽しいことか。

    しかもミュージカル風になっていて、その楽曲も素敵でした。あれはオリジナル曲なのでしょうか。もしそうだとしたら、一般のミュージカルの平板な、普通にしゃべった方がいいくらいのつまらない楽曲しか作れない作曲家に代わってガンガン仕事をしてほしいと思いました。

    本当に楽しく、深みのある作品でした。それだけに、題名のアラカンは還暦を強調させたり嵐寛寿郎を思い起こさせたりするので、イメージが年寄り臭い方に偏ってしまうような気がします。還暦世代の人たちというより、社会人の経験はあるが役者としての経験のない人たちが引っ掻き回すというのが主題ですから、それこそ劇中のシニア養成所の名前ハーヴェストシアターくらいがちょうど良いのではないでしょうか。
  • 満足度★★★★★

    王道の喜劇
    奇をてらわぬ王道の喜劇。さすがです。
    達者な役者さんが集まっているので当然といえば当然ですが、自然な演技で物語に引き込むところは凄いです。本当にアラカン世代の普通の人たちが集まっているかのように見えてしまいます。対する老舗劇団”明星”側の布陣も素晴らしく、いかにもの演出家、演出助手の反応が良いです。
    看板女優と演出家の何気ない会話も、思わず「上手いなあ」と唸ってしまいます。プロの芝居です。
    最後は笑いながら泣いてしまい、パンフにあった作家さんの文書そのままとなりました。

    ネタバレBOX

    ミュージカルと土曜ワイド劇場風味の「オセロー」を、是非観たいと思いました。
  • 満足度★★★★

    新作オセロー
    すごく楽しめました!達者な演技とよく出来た構成であっと言う間の2時間20分。劇団の内幕も楽しく、生まれ変わったオセローもすばらしい出来でした。
    素人役者を演じる役者さん達の巧いこと。劇中劇でうまく演じるより素人らしく演じるほうがずっと難しいんだろうな、とは思うのですが、あまりに自然な下手さにうなってしまいました。こんな劇団が本当にあるといいなぁ・・・・・。

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